24
「くそっ!!魔物ふぜいが!かかってきやがれ!!」
大男が鎧兜を身に纏い大斧を持って家から出てきた。
おっ、あの斧いいなぁ…見ただけで特上物ってわかる武器だ。
大方どっかから盗んだであろう斧のかっこよさに惹かれた。
「お兄さんイイモノ持ってるね」
俺は鞘から剣を抜いて大男に近づいた。
「なんだ貴様は!!」
威圧するような咆哮。
確かにビリビリくるが所詮それだけだ。
前の街にいたリーダーみたいな強さを感じない。
俺の直感と魔物になって得た野生の勘…合わせて『直勘』か?こいつには反応しない。
人生のほとんどを直感で生きてきた俺に野生の勘が合わされば正に『鬼に金棒』いや、ロケット砲ぐらいはいくかもしれん。
まあとにかく、こいつは俺の敵では無い。
俺は素早く大男の懐に入り脚を斬った。
「ぬぅ!小癪な!」
大男は力任せに大斧を振り下ろしてくるが俺はそれを剣で受け止める。
「ふん!そんななまくらごと叩き斬ってくれるわ!」
こいつの力は並外れているし、斧も特上物だ…確かにこの剣ごと俺を真っ二つにできるだろう。
だが、それは理論上での話だ。
俺は剣を斜めに傾け大斧を滑らした。
「ぬお!」
力を入れるために前に重心が傾いていたため、大男は簡単に前のめりになる。
「かっ…!!」
前のめりになった隙に首に剣を突き刺しそのまま薙ぎ払う。
首無しの大男はそのまま倒れビクビク痙攣していた。
首は…うん、部下のご飯になったよ。
俺はウキウキ気分で大男の鎧兜を剥ぎ取り、手から大斧を取った。
「おぉ~…普通は1mぐらいなのにこれは1m中ぐらいはあるな~」
俺より少し小さいぐらいだから大体150cmぐらいか。
イイ斧だな~…
俺が斧を眺めている間に大男の体は姿を消した。
そして村を水びたしにしてから広場に向かう。
当然部下共は村に置いたまま。
広場で村長に終わった事を伝えると、ありがとう。と地面に着くぐらい頭を下げていた。
広場にいた全員で村に戻ると、村人達は村でくつろいでる俺の部下達に驚き恐怖の表情を浮かべていたが、村が水浸しなのにも驚いている。
俺はとりあえず、部下達には食べ物さえ与えれば危害を加えないと思う、と説明した。
明日になれば次の場所に行く、と言うと村長は今日は祭りだ!と言って村人全員で準備に取り掛かる。
「あー…この金品どうしようかな…」
村人が総出で祭りの準備をしてる中、俺は盗賊団の頭が居たデカイ家の中にいた。
家の中には宝石や秘宝と言った人間にはとても価値のある物ばっかり山のように積み重なっている。
魔物である俺たちにとっては価値など無いに等しい。
でも一応戦利品っちゃあ戦利品なんだけど…何かを魔王にあげたら喜ぶかな?
喜べば俺の評価も上がるだろうがそれにもあまり興味無いしな~。
「ああ、ここに居ましたか」
しばらくの間金品の山の前で俺が悩んでいると村長が家の中に入ってきた。
「おお…!これは…まさに宝の山ですな!」
「そうか?まあ人間にとってはそうか」
俺も元人間なんだけど。
「多分この大陸中の秘宝やお宝、価値の高い宝石なんでしょう」
「そうなのか?」
「王都の方ではかなりの被害があったらしいですからね」
あんな力だけの弱い奴がそんな事できんのか?
数にモノを言わせて盗んだんなら……まあできない事もないか。
…うーん、うまくいけば王都の方で交渉できるかも。
「とりあえず…秘宝やお宝って何か分かる?」
「ある程度でしたら…」
「ある程度か…」
「秘宝やお宝とは関係の無い宝石や装飾品なら分かりますよ」
関係の無い宝石や装飾品か…関係無いんなら捨てようかな?
「分けるのはすぐに分けられますけど、分けます?」
「うーん…じゃあお願い」
村長は宝の山をどんどん分けていく。
5分もしない内に大きな一つの山が二つの小さい山と一つの中ぐらいの山の三つに分かれた。
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