11 あなたの部屋の物語-3

扉から入ってきたのは、くたびれたサラリーマン。すたすたと中へ進み、真っ黒なビジネスバッグから取り出したのは、使い古したウォークマン。沢山の音楽を、通勤の楽しみにしているのかもしれない。それをくまの手に持たせ、くまの頭をぽんと撫でた。

忙しいのだろう、彼はあなたをちらりと見ると、軽く会釈をして足早に扉の向こうへと消えていった。




こん、こん、と扉がゆっくりと静かに音を立てた。

今度は誰だろう。

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