第8話

「……いやいやいや!」


やばいまじこれ。

ミナトは左手で股間を隠しつつ、右手で頭を抱える。


たしかに旅の中で、盗みに遭うことは想定していた。しかしそれは荷物のことで、まさか下着まで盗られるなんて想像もしていなかった。


まだ夜が明けてそう経ってはいない。早くなんとかしないと、このままではじきに人が来てしまう。


「と……とりあえず茂みに……ッ」


ミナトはうろたえつつも、あたりを見回す。ほんのわずか、木々が茂る空間があった。

確認もせず、その緑の中に飛び込む。


「……は?」


見れば、そこには黒っぽい人影があった。


「お」


人影ーー背の高い男は、身をよじるとミナトの顔をチラッと見る。

その男は、どう見ても立ち小便をしていた。


「えっと」


早朝の茂み。

立ち小便をする男と、そこに出くわした全裸の少年ことミナト。

なんともいえない沈黙と、遠慮のない水音。


もうこの旅はいろいろ無理かもしれない。

ミナトはそう確信した。


第9話へ続く

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