過去からやってきた非現実に少女はひとり立ち向かう。

ほんの軽い気持ちからアイドルになった少女が、百年前に生きていた男が遺した妄執に立ち向かっていく物語。
忍び寄るような不穏な影、グロテスクなホラー展開、そして衝撃の真相。
とても面白かったです。べったり貼り付くような雰囲気も好きです。
現実の歴史との絡ませ具合も上手いと思いました。

終盤は本当に意外な展開で、ちょっと混乱しましたね。
しかし、となると主人公の理桜が恐怖に立ち向かうことができたのも、そういうことだったのかなと納得できるところもあり、読み返したらまた違う発見ができそうです。
一気読みがおすすめです。完結していますしね。

理桜のキャラクターはもちろん好印象なのですが、一方で物語の発端であり裏の主人公のようでもあるヘンリーもまたユニークで良かったです。
徹底的に俗世から距離を置き、死後にその創作物が発見される。
知りませんでしたが、実在のアーティストなんですね。
消えずに残ったのは奇跡的ですね。そこもまた数奇に思えます。

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戯少女の王国