夢のゆくえ

 サイレンが鳴っている。叶わなかった夢が放流されるようだ。

 以前は一つ一つの夢の嵩が大きくてすぐ満杯になってしまっていた。最近は一つ一つは小さいけれど数が非常に多いため、放流の頻度はダムができてからずっと変わっていないらしい。何十年ぶりかに会った友人に聞いた。私がこの村を出ていくときにはダムの見習い技官だったのに、今では副所長だそうだ。

 放流された夢は川を流されている間に小さくなり、水蒸気に紛れて空に昇って流れ星になって消える。ダム下流域の夢成就率が他の地域よりも格段に高いのは、この流れ星のおかげだと考えられている。

 今日からしばらくの間、皆夜更かしして空を見上げる。都会で成功するという私の夢も、流れ星になって誰かの願いを叶えるだろうか。




終わり

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初夏の描き方 葉原あきよ @oakiyo

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