第25話 こんな世界で生きていく

世界が平和となる時が来るとするのなら、

それは人類が絶滅する時であろう。

一人の灯りが消える時が来るのなら、

それは人類が過ちを犯した時だろう。

もしも世界から争いがなくなるとしたら、

それは人類が人類に勝利する時であろう。


スタークジェガン編

第25話 こんな世界で生きていく


カプセルの扉が開いた瞬間疑いという言葉はスタークジェガンからは消えていた。その目線の前には、壮大な 『海』 があったのだ。

海。それは地球を覆う大量の塩水、、、だったらしい。過去に生きていた人間達は、地球を汚染しすぎ、海という物が、存在が、なくなった。今では海という存在を知るものはゼロに近いだろう。いや、ゼロだろう。それだけこの世界、ここに住む一人の人間として、是非見たいところだった。そしていま、成し遂げた。終わりの見えない水平線と、太陽に照らされ反射する壮大な水の溜池。これに心を動かされないものは居ないだろう。かつての人々が行った様に、私達もまた、この世界最後の海を、守りきらなければいけないという謎の使命感を覚えた。しかし、私はその時疑問を抱いた。何故上こんなに貴重な海を総司令官でもない普通階級の軍人が指揮を執っているのか。何故こんな貴重なものを私達慣れ果てに見せたのであろうか。観光で見せるものなのではない。悪用などされたら・・・。


「素晴らしい眺めでしょう。過去にはこれは当たり前だったのですが・・・」

口を開いたのはここに連れてきた主、アフォンソ・メアシャーク少佐。

「そうなんだ・・・カヤバ先輩もついてくれば良かったのに」

「そうですね。こんな光景二度と見れないでしょうに」

先輩は、親の面倒を見るらしく、ついては来なかった。先輩にも見せてあげたいものだ。

水平線。おもしろいものだ。あるところを境に全く見えなくなる。地球が丸いということを知らせているように感じる。海の風、海の匂い。生命の香り。私達が一人では生きていけないように、自然のものでも、一つだけでは生き残れない。そんな気がした。

「素晴らしい光景に感動してくれたことは嬉しいのですが、残念ですが時間です。それでは、行きましょうか」

出来るものならずっと見ていたいものだ。

だから、、、

「やだ!行きたくない!私ここに住むの!」

・・・と、言い張る子達も出てくる。こういう時の子供が一番大変だと思う。さて、どうするか、あまり関わりたくないけど・・・。

「サトミちゃん?みんなまってるよ?いこ?」

メアシャークの部下がやさしく話しかけるが、その子は全く動こうとしない。するとメアシャークの部下は深くため息をついた。そして、

ダンダンダン!

銃声が響き渡る。

地面は赤く血で染まり、小さい体にボコボコと穴が開く。周りは恐怖。なにせ、小さい子を殺したのだから。

「そっ・・・おい!なにやってんだ!」

スタークジェガンはメアシャークの部下へ叫ぶ。

「指示を聞かねぇほうがわりぃだろ?まっ殺すつもりはなかったんだァよ。はははっ」

「・・・なに、笑ってんだ?」

「あ?」

「人殺しといて何笑ってんだよ!」

サイコパスかよ、お前!誰やねん!

「ふっ、人ひとり殺したことのない奴に、そんなこと言われる筋合いはねぇ。人殺せばひとり殺ろうがふたり殺ろうが、言ってしまえば百人殺したってかわりゃあしねぇ」

「お前・・・相手は小さい女の子だぞ!?」

「ガキだからなんだ?殺しをした人間なんか、女でもガキでも変わらねぇ。うぜぇ奴は殺すだけだ。あ?てめぇはやれんのか?あ?」

「それがお前のやり方か・・・」

「わりぃか?よっぽど殺れねぇ奴の方が悪なんじゃねぇか?」

「小さい子をころして正義だと言うのか?」

「だからかんけぇねぇっつってんだろ。犯罪者殺そうが、極道殺そうが、どんだけ糞なやつをやろうが、殺しは殺しだ。たが、わりぃ奴を殺せば正義感が生まれる。人それぞれだろ?」

「お前・・・」

すると、騒ぎを聞きつけてきたメアシャーク大佐がきた。

「・・・ブェース中尉。殺すなと言ったはずでしょう。まぁったく」

・・・メアシャーク?

「すんません大佐。でもこいつが支持従わないですから殺っちゃいました」

ふーん。と言いながらブェース中尉の方へ歩いていくと、

「・・・・・・?」

中尉の腹を見ると、ドスが突き刺さっていた。しかし、メアシャーク大佐は顔の表情を一切変えずにドスをグリグリと腹へ押し込む。

「がはっ・・・たっ・・・たい・・・さぁ・・・」

痛覚を堪え、力を振り絞り問う。

「殺すな・・・と、言ったはずでしょう?」

「で・・・です・・・がはっ!・・・」

見てられない。やり方がえげつない。

「貴方が命令をきかなかったからですっ」

と、同時にドスを抜く。血が吹き出し、中尉は地面に倒れる。真っ赤に染まったメアシャーク大佐の軍服のワイシャツは赤く染まっていた。

「こんなこと・・・」

「・・・ありえますよ。これが私達アレクダルア共和国直系メアシャーク組のやり方です。覚えといて損は無いでしょう」

直系・・・ほんとに、つくづく共和国はクズの巣窟だな・・・。

「みなさんも今後このようなことは内容にしてくださいね。」

・・・。

「それではこの下の街。茶臼篇ちゃうぺんの街を堪能してくださいね」


・・・クソっ。

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