竜の骸布

作者 阿部屠龍/ウル

血と腐敗の臭いに包まれた死の舞踏

  • ★★★ Excellent!!!

 そうとしか言いようがない、ドラゴンの死骸をめぐる群像劇です。
 最初から最後まで、血と腐った肉の吐き気をもよおす臭いが鼻先に届いてきているかのような気にさせられる文章力が、空から降ってきたドラゴンの死骸という出来事に沸く、困窮した村の顛末を生々しく描いています。神に救いを求める者、疑心の狂気に駆られる者、罪と知りながら犯す者、救おうとする者、見守る者。描かれていくそれぞれの運命、怯え惑う村はまさしく、西洋芸術の一様式である死の舞踏そのもの。やがて見えてくる業火と静寂の終焉まで、一気に読んでしまいました。

 彼らは一体どうなるのかと、一話一話に気になって仕方なく、退屈することは一度もありません。シリアスな異世界ファンタジーを求めているなら、是非読んでほしい作品です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

星霄華さんの他のおすすめレビュー 140