第45話 さんかくかんけい

 どーも助手のワシミミズクです、あれから博士とシロの観察を密かに行っているのです。


 ある日の朝、相も変わらずシロは朝食を作っています。

 味噌というのが手に入ったらしく、伝統的な朝食を食べさせてくれるそうです。


「朝食はこちら!ご飯と目玉焼きとそして…味噌汁!」


 シロはこうして新しいものが完成すると嬉しそうに我々に提供してくれるのです、私個人としても新しいものが食べられるのは嬉しいのです。


「「いただきますッ!」」パンッ!


「はーい召し上がれ」


 いつものように挨拶をして朝食に手をつけました、するとこの味噌汁というものなのですが、なぜかとても安心する味なのです。

 

 中にある白いのはトーフ?というらしいのですが、シロによるとこれは。


「味噌汁!豆腐!Best Match!」


 だそうです、ご飯も目玉焼きも美味しいのです、博士と共に満腹満足な朝食でした。


 と… つい料理の話しに逸れてしまいましたが、この時私は発見したのです。


 そう!シロの博士に対する好意を!


 私がシロの動きに注意しつつ博士の方の料理をちらりと見た時、私は気付いたのです!

 博士の味噌汁のほうが豆腐の数が一つ多いことに!博士はこちらと比べている訳ではないので気付いていないようですが私の目は誤魔化せません、猛禽類は目がいいのです。

 

 これは紛れもなくヒトがする愛しい相手への求愛行動、シロ… お前というヤツは地味に可愛いことをするのです。

 

 引き続き調査を続けます。



 どーも、アフリカオオコノハズクの博士です、このところ助手の様子がおかしい気がするのです。


 本人は自然に振る舞っているつもりのようですが、ワタシの目は誤魔化せないのです!猛禽類は目がいいので!

 

 ある日の朝食のことです、味噌汁というのを初めて飲んだのです。


 目玉焼きとご飯、そして味噌汁… シロが言うにこれは。


「味噌汁!白米!Best Match!」


 だそうで、本当はナットー?というのもほしいと言っていました、そこまで言うのなら美味しいに決まっています今度調べてみるのです。


 味噌汁とやらは単純な味の中に暖かみがあるものでした、中にある豆腐とかいうカクカクフワフワな物体も味噌汁にぴったりなのです!寒い日にゆっくりと味わいたいものですね。


 それで… 助手のことでしたね?もちろん忘れてなどいないのです、ワタシは賢いので。


 食事中のことです、ほんの数秒の話ですが手を止めることがあるのです、ふと隣が気になりその時に助手の方をそっと覗くと…。


 なんと、助手がシロに熱い視線を送っているのです!表情こそ変えませんが何か熱意のある視線を向けていました。

 しかも絶妙なタイミングでまた料理を口に運び始め、シロには気付かれないのです!


 この時ピーンときたのですよ?


 助手は… 恋に落ちてしまったのです!


 ヒトの世界では言われてるそうなのです、相手の心を掴むにはまず“胃袋を掴め”と。

 

 いえ!これは実際に胃袋に手を伸ばすことではありません、それは“ぐろてすく”というやつなのです!飽くまで比喩なのです!


 つまり助手はシロの料理に胃袋を掴まれてホの字になってしまったのです、間違いないのです!



 どーも、料理人のシロです


 博士達が近頃妙なんだ。


 ある日ラッキーに大豆の使い道を研究してもらってたのだけど、そしたらあっという間に味噌と豆腐を完成させたんだ、すごいよね?さすがラッキー。


 で、これはもうやるしかないなと思ってとうとう味噌汁作りに挑戦したわけだ。


 まぁ豆腐の扱いは少し気を使ったけど味噌汁そのものは簡単だね、朝食には目玉焼きとご飯もつけちゃえ!イェイ。


 この分だと納豆もそのうち作ってくれる違いない、いいかね?納豆は体にいいんだ、でもあのネバネバと独特な香りに二人は耐えられるのだろうか?

 否… これを食わないで食通といえるのだろうか?いや言えんな!好き嫌いはよくないのです!


 とまぁそれはいいんだけど…。


 ふと視線を感じることがあるんだ、でも二人の方を見ると俺を見てるわけではない、気になって注意していると… 博士は助手が見てない間に助手を、助手は博士が見てない間に博士に視線を送っていたんだ。


 どちらもほぼ一瞬のことだがしばしばその光景が見受けられる。

 これは、これまでもあったけど今さら気になったのか、あるいは急に始まったから目に止まるようになったのか…。


 正直その判断はつかないが一つ言えることがある。


 俺これ知ってるよ?あれでしょ?


 “百合ゆり” とかいうやつでしょ?


 つまり!二人はただならぬ関係に一歩踏み出しつつあるんだ!イャンバカんもう!


 仲がいいとは思っていたがまさかこれほどとは、フレンズには男の子がいないからこうして女の子同士で恋に落ちることもあるんだそうだ。

 地下室の資料で見たよ、前例が無くはないようだ、あぁそっかビーバーちゃんたちがそれかな?


 でも恋愛ってのは十人十色だよね?そうさ好み色々!こんなこともあるさ!


 俺応援してるよ!いつか伝わるといいね!





 シロ、博士、そして助手。


 この三人をこうして客観的に見た時、一つの答えに行き着くだろう。




 全員!暴走!!!



 この暴走を止める者はいないのか?

 最早絶望とさえ思われていたそんなとき、彼女達は現れた!我らが希望!



 サバンナコンビだ!





 かばんです、サーバルちゃんと一緒にいろんなフレンズさんのとこを渡り歩いてます。


 今回はたまたま… そうたまたま図書館に立ち寄りました、深い意味は無くて近くまで来たからです本当です。


 図書館にはシロさんっていうとっても料理が上手なヒトのお兄さんがいます、すごく優しくて頼りになります。


「いらっしゃい二人とも!チーズケーキ作ったからよかったら食べてって?」


「なにそれなにそれ~!食べてみたーい!」


「はい、いただきます」ニコニコ


 こうしていつも美味しいものを作ってくれてみんなに笑顔を届けています、とても素敵だと思います。


 でもそんなシロさんのことで、珍しく助手さんから個人的に一つ相談を受けました、そこ内容は…。


「かばん?これは私とお前だけで内々に処理したいのですが…」


「はい?なんでしょう?」


「どうやらシロが恋に落ちたのは博士のようなのです」コソコソ


「え…」


 どう反応していいかわかりません。

 どうやらっていうかシロさんがその… こ、恋をしてるなんて初耳なんですけどそれは…。


「かばん?大丈夫ですか?」


「あ、はい… 大丈夫です… あのそれ、また勘違いってことは?」


 そう、二人は先日大変な勘違いをしてシロさんに迷惑を掛けて頭をしめつけられていました、その可能性は高いと思っています。


「間違いありません、私の観察眼に狂いはないのです」←勘違い


「そうですか…」


 本人に確認したのかな?

 どうやら助手さんは間違いないと思っているようです。


「では進展があればまた話します」


「はい…」


 聞いたとき、なんとも言えない気分になりました。

 初めての感覚です、こうチクチクしたような… でも博士さんは可愛らしいから一緒に住んでて好きになってしまうのもわかる気がします…。


 それから不思議なことはまだ続きました、


「かばん?一つ聞いてもらいたいのです」


 次は博士さんが僕に相談事があるみたいでこう言いました。


「実は助手のことなのです…」


「え?助手さんどうかしたんですか?」


「どうやらシロにふぉーりんらぶなのではと思ってるのです…」


「え、えぇ~!?」


「しー!しずかに!くれぐれも内密にするのです!」


 でもさっきシロさんは博士さんに恋をしてるって助手さん自身が!?でも助手さんはシロさんが好き!?これは一体どういうことなんですか!?


「こう… じっと見つめてることがあるのです、あれは発情期のフクロウが相手を見付けた時と似ているのです!」


「は、発情期ですか…/// あの、勘違いでは?」


 は、発情期だなんて… フレンズさんにも発情期があるってことなんですか?助手さんが発情期、つまりシロさんを見てそういう気分に?さすがに勘違いのはず。


「長年助手と過ごしてきたワタシにはわかるのです!あれは獲物を見定めた猛禽類の目なのです!」


「そ、そうですか… でも僕はどうしたら?」


「今はなんとも… なにか分かればまた話しましょう」


「わかりました」


 混乱してきました… シロさんは博士さんが好き、それを教えてくれたのは助手さん、そして助手さんはシロさんが好き、でもそれは博士さんが教えてくれた… ってことはこれは。


「ねぇかばんちゃん、ちょっといいかな?」


「…」


「かばんちゃん?」


「え?ふぇ!?し、シロさん!? …はい、是非」


 今度はシロさんが。


 正直複雑です、シロさんのことを好きな助手さんを差し置いて僕なんかが博士さんのことを好きなシロさんとおしゃべりするだなんて…。

 でも向こうからきたらちゃんとお話ししないと失礼ですよね?そう、これは仕方のないこと。


「実は凄いことに気付いてしまって… 二人のことなんだけど」


「博士さんと助手さんですか?」


 あ!きた!きっとシロさんは今の状況を既に理解しているんだ!流石です!

 どちらとも仲がいいから細かい変化にも気付いているんだ!ほらやっぱり前みたいに勘違いなのかもしれない!


「お互いにお互いのことを目を盗んで見つめてることが多いんだよ?これってほら、あれだよね?お互いに先に進みたいけど告白すると関係が崩れるのを恐れている系のやつだよね?こういうときってやっぱり影ながら応援するのがいいのかな?それとも全面的なバックアップを…」


 なんか違いました…。

 シロさん、あなたまで何を言い出すんですか?


「もう!なんでですかぁ!」


「え!?ごめんね!よくわかんないけど謝るよ!」


「あ、いえ… ごめんなさい…」


 でもちょっと待って… それじゃあシロさんには二人が愛し合ってるように見えるということ?でも助手さんはシロさんが、それにシロさんだって博士さんが。

 でも今のシロさんの言い方だと二人の情報は間違いに聞こえます、シロさんは本当に博士さんが好きなの?


 確認… してみようかな?


 そうだ、ちゃんと聞かないとわからないのだから。


「あ、あああの!」


「なに?もしかしてなにかヒント?」


「いえ… えっと… えっと… シロさんは?」


「俺?」


 勇気を… 勇気を出して聞いて!き、聞くぞ~!


「シロさんはその、好きな人とか… いるんですか…?」


 わぁ~!き、聞いちゃったぁ~!?


「え~っと… それ言わないとダメ?」


 シロさん、顔が真っ赤になってその白い髪がさらに際立っています。

 綺麗な白、僕の髪は真っ黒だからなんだか羨ましい。


 それにしても彼のこの反応… そっか、そういう人がいないならこんな反応はしませんね…。


「いえ、無理に言わなくても…」


「いや、ん~… いないとも言わないんだけどさ?」


 ッ!?やっぱり…。


「でもなんだか自分の中でもハッキリしないんだ?かばんちゃんはこういうことある?」


 僕?僕は… 僕も…。


「ごめんなさい、僕もよくわかってなくて」


「そっか、じゃあおんなじだね?」


「あ、はい!」


 ハッキリしない返事でしたが、でも誰かのことは気になってるみたいです、情報通りならそれは博士さん?


 まだ博士さん達の話が確定してるとも言い切れないけど、仮に… そう“仮”にその通りだったとしたら。


シロ→博士 


助手→シロ


 これが博士さんと助手さんの情報を元にした状態、三角関係… というそうです。


 でもシロさんの情報通りならそれが崩れます。


助手←→博士 


 とこうなります、そしてどちらの場合でも思い通りにならない人が一人います。



 それは助手さんです。



 助手さんはシロさんか博士さんどちらかが好き… でももし二人がそのような関係になったとしたらどちらが好きだとしても助手さんだけは失恋することになってしまう。


 これは博士さんと助手さんの情報が正しい場合ですが、それを間違いとしてシロさんの説を信用して話を進めたとしたら…。


 シロさんは二人が関係を持つことに対して特に問題はなさそうに思う、つまり誰も不幸にならない状態。


 でも博士さん達も自信たっぷりだし、かと言ってシロさんは嘘をついてるとも思えない。


「はぁ… 困ったなぁ…」





 サーバルキャットのサーバルだよ!今日はかばんちゃんと図書館に来たんだ!


「近くだし寄ってみてもいい?」


 ってかばんちゃんが言うから、いっつもわたしの行きたいとこか呼ばれたとこに行くかだから、めずらしいー!って思ってかばんちゃんが行きたいなら行くことにしたんだ?


 そしたら丁度シロちゃんがちーずけーき?っていうの作ってて!おいしそー!って思ってたの!

 シロちゃん「食べてって?」って言ってくれたんだよ?おいしかったー!紅茶とピッタリだったよ!


「紅茶!ケーキ!Best Match!」


 だって!おもしろーい!今度かばんちゃんと一緒にわたしも作りたーい!


 それでぇ… 博士たちとかばんちゃんコソコソなにか話してたんだけど、わたしの耳大きいから少し聞いちゃったんだ?よく聞き取れなかったけど“好き”がどーこーって言ってたから、きっと素敵なお話しだね!


「うみゃー!わたしもかばんちゃんが大好きだよー!」ガバー


「わぁあ!?急にどうしたの?でもありがとう、僕もサーバルちゃん大好きだよ?」


 やったー!でもそれならなんでかばんちゃんは少し暗いのかな?いつもみたいにニッコリ笑ってほしいなぁ~…。


「わーい!ところでなにか悩みごと?なんだかかばんちゃん難しい顔してたから」


「うんちょっと… 僕のことじゃないんだけどね?」


「なになにー?私でよかったら力になるよ!」


「ありがとうサーバルちゃん… じゃあサーバルちゃんは恋ってどんな感じかわかる?」


 恋かぁ~… それって好きってことだよね?でもわたしかばんちゃんもみんなも好きだけどそれとは違うのかな?


「特別に好き… っていう気持ちだよ?」


 かばんちゃんが丁寧に教えてくれたんだけど、よくわかんないや!


「あそっか!かばんちゃんは恋してるの?」


「えぇ!?ぼぼ、僕は… こここ恋なんて…まだ…」


「じゃあみんなにも早速かばんちゃんに恋してるか聞いてみるよ!」


「さ、サーバルちゃん!ちょっと待t」

「おーいシロちゃーん!」





 おや?洗い物の最中だけどお呼びとあらば行くしかあるまい、サーバルちゃんは今日も元気だなぁ。


「どうかした?」


「シロちゃん!かばんちゃんのこと好き?」


「え…っと」


 多分、これはそういう意味で聞いてるわけではないはず…。

 でもまさか嫌いだなんて言えないし、ここは普通になんの深みもなくイエスかノーの意味で言っておこうかな?


「うん、好きだよ」


「「「えぇ!?」」」


 なんだ今のは、びっくりボイスがあちこちから聞こえた。


「それって恋?違うの?」


 え!?こ、恋!?なぜそんな話に?




「サーバル!何を聞いたのです!シロが好きなのは博士のはず!」

「なんてことですかシロ… 助手の想いを知らずに…」


「「え?」」



 どーも、助手のワシミミズクです。

 サーバルの発言でシロがかばんを好きだと?私が間違っていたとでもいうのですか!しかし… それよりも。


「博士、今なんと?」



 どーも、アフリカオオコノハズクの博士です。

 サーバル、余計なことをこんなタイミングで… ここにはシロに胃袋とハートを掴まれた助手がいるのですよ!それよりも。


「助手こそ、今なんと言いました?」





 どーも、料理人のシロです。


「どうやら二人とも、またやってしまったねぇ?」


「なにがです!それよりもシロ!博士への気持ちはどうしたのです!」


「なんの話なのそれ…」


 どうやら、サーバルちゃんの一言で何かうすぼんやりと見えなかったものがハッキリしてきたらしい、やれやれまったく困った百合フクロウだぜ。←違う


「助手こそ!シロへの気持ちはどうしたのです!」


「な!?博士!私はシロをそのように見たことはありませんよ?」


「どういうことですか!」


「こっちの台詞です!」


 なぜ俺の話が出てくるのか?と疑問に感じている、色恋沙汰に首を突っ込むなど野暮というものだが愛する二人がケンカするところを見過ごすことは… できねーぜ!キリッ


「ケンカしないでよ二人とも!本当はお互い両想いなんでしょ?」


「「は!?」」

 

「え?」



 あ、かばんです… 今回の件、ようやく解決しました。


 どうやらシロさんも博士さんも助手さんも、みんなが勘違いを起こしていたようです… それを真に受けた僕もです。

 

 解決してくれたのはサーバルちゃん、でも同時にもう一つ謎が生まれました。


 それは…。


「あのシロさん…?」


「あぁごめんね、騒がせちゃったね?」


「いえそれは… それよりその、さっきのはつまり…」


「さっきの?って… あ…」



 …

 


 “うん、好きだよ”

 

 台詞が脳裏に過る。

 この時、俺も真の意味で今回のことを完全に理解したのだ。

 博士達も俺も勘違いから恋愛の悩みをかばんちゃんに話した、それに悩んだかばんちゃんもまたサーバルちゃんにそれを話した。


 そして俺はサーバルちゃんの問いに答えたのだ。


 好きだよってね!

 

 オーマイガッ!違うんですそうじゃないんです!聞いてください!


「いや!サーバルちゃんが聞いてきたからね?深い意味はなくって!いやだからって嫌いってことじゃなくって!むしろ好きな方なんだけど!いやこれも深い意味はなくってそのほらみんなかばんちゃんのことは好きだブッいひゃい!ひたかんでゃあ!?!?(痛い舌噛んだ)」


「…?アッハハ!もぅシロさん急いで喋りすぎですよ?」





「助手、今回は我々それぞれに非があるのです」


「はい博士、アイアンクローは間逃れましたね?」


「そうです、それよりも… そんなに私を見ていたのですか?」


「は、博士こそ!普段そんなに私を気にかけてたのですか?」





「助手…///」「博士…///」


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