第6話

「じゃあ、俺達も行くか」


「ええ」


木戸の鼻息は荒かった。


これはなんとしてでもヒロシを見つけないと、収まらないな。


滝本はそう思った。



滝本と木戸は懸命にヒロシを探したが、なかなか見つけることが出来ないでいた。


「くそう、どこ行きやがった」


木戸がそう言った時、遠くから大きな声が滝本の耳に届いた。


「見つけたぞ!」


「あっちか」


木戸はそう言うと、走り出した。


もちろん滝本はその後を追った。



着いてみるとそこは、観覧車がある場所だった。


そのまわりを三人が取り囲んでいた。


未来永劫動くことがないであろう観覧車の中を覗くと、中でヒロシがこれ以上ないくらいに小さくなって震えていた。


「おい、出て来い」


木戸がそう言ってドアを蹴ったが、ヒロシは動かなかった。


「ちっ」


木戸は舌打ちをするとドアを開け、ヒロシの手を掴むと中から引きずり出した。


「俺達から逃げるなんて、いい度胸しているじゃねえか。もちろんそれなりの覚悟はあるんだろうな」

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