第3話 問題が発生しています
更に三日後。
「神様大変です」
「どうしたのスー」
肩と背に地球産の湿布を張ながら神が振り替える。疲労とかなら再生能力で消せるだろうにわざわざ疲れてますアピールとヒンヤリ感を求めて定期的に地球へと買い物へ行く。というのは建前で本当は漫画とゲームを買いに行って、それを見付かると五月蝿いからついでに買っているという事を秘書は知っていたりする。
秘書は神の前に立ち分布図を開く。そしてこの前の二つの世界球の部分を拡大していった。
なんとM側から住人達が穴の修繕箇所を破壊し、Fの世界に雪崩れ込んで襲撃しているではありませんか。
「え、なんで?なんでわざわざ突入してるの?それもなんで襲撃しているの?え!?待ってこの前の私の苦労が水の泡じゃない!!!」
分布図に張り付き奇声を上げる神を後ろから冷めた目で見ている秘書。
「神様、ご褒美欲しさに手抜きしましたね」
ビクッと神は小さく肩を跳ねさせた。
そして勢い良く秘書を振り返ると違う違うと全力で首を横に振った。
「し…っ、してないしてない!!ちゃんと塞いだもん!!もう力一杯、全力で縫い付けてきたもん!!」
「? 縫い付けてきた?削除じゃなくて?穴を塞ぐって、消したんじゃなくて物理で縫い合わせて塞いできたってことですか?ちなみに何で塞いだんですか?」
秘書の言葉に神の目が泳ぐ泳ぐ。
「…………えと、あの、ちょ、手抜きとかじゃなくてその、やっぱり麗しき乙女の封印術って華がないと駄目じゃない?だから世界中から魔石を能力使って魔宝石にして、それを各穴っていうか世界の裂け目の横に並べて、その魔力を使って巨大な糸で祭り縫いー、みたいな。実際封印祭って祭りできたし。あ、待ってそんな目をしないでよ怖い」
「魔宝石って魔石の上位ですけど、魔力は無限じゃないのはご存知ですよね」
「はい…」
<魔宝石>
魔石の魔力保有量が上位の物に対する呼称。
普通の魔石をガラスのコップだとすると魔宝石は最低でも浴槽レベルの物。
「しかもその魔宝石ですが、高く売れるということで遺跡荒らしに大分盗まれていますよ、ほら」
秘書がプリントアウトされた写真を神に手渡す。そこにはまさに盗難中の魔宝石を抱えた人の姿と、魔宝石が疎(まば)らになった封印遺跡。魔力が足りずに封印が解(ほつ)れ掛けている様子がおさめられていた。
「ひょおーー!!半分もない!!ええ!!私ちゃんとこれは悪魔を封じる大事で尊いものだから末長く守っていきなさいって命令したじゃない!!神書にも記したのに!!」
「神書は人の手が加えられて結構内容変わってますね、あと守護の一族は溢れてきた悪魔との戦いでもう絶滅寸前ですけど」
見せられた映像と共に守護の一族あと13人と表示されていた。と眺めている間にもう10人になった。
「キャーーー!!これじゃせっかく作り上げてきた私の清く強く美しい勇者の伝説が消えてしまう!!どうしよう!!スー!どうしよう!!」
「また神様(あなた)を下ろすわけにはいきませんからね。まだ降臨してから年月も浅いので神出現の衝撃でFどころかMも崩壊するかも。今はどちらもヒビが入りかけですから」
「どっちにしてもFがアウトよ!!てかなんで悪魔はわざわざ雪崩れ込んでるの!?管理人不在とは言え、今は五つの魔界の王を立ててしっかり管理してるんじゃなかったの!?」
「なんか手を組んでゴーサイン出してますね」
「キイイイイイ!!!!観測者を送って!!どうなっているのか調べてきて!!」
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