第48話

「甘いな。ヌルいな。

 その程度の力でワシに勝てるとでも?」


 フィサフィーが笑う。


「勝てるか勝てないか……

 そんなの殴り続けたほうが勝つだろう?」


 百道がフィサフィーに殴り掛かる。


「ステゴロの能力は、強力じゃが当たる前にどうにかすればいいことじゃ」


 フィサフィーがそういうと百道の頬を杖で殴る。


「痛伝」


 それを裕也がフィサフィーに移す。


「うむ、これが噂の痛伝か……

 これがワシの与えたダメージの痛みか。

 この程度のダメージで893の奴らは死んだのか。

 弱いのぅ」


 フィサフィーがそういって笑う。


「挑発のつもりかい?」


 秋夫がフィサフィーを睨む。


「だったらどうする?

 ワシを殺すか?」


 フィサフィーが嬉しそうに笑う。


「まぁ、実力の差からして無理だろうねぇ。

 だけどな」


 秋夫がそういうとオトネと登を一瞬で取り返した。


「ほう?それで?」


 フィサフィーが、秋夫を睨む。


「さぁて、どうしようか?」


 秋夫がそういうとセロにふたりを預けた。

 ゼロは、ネジを回転させふたりの拘束を解除した。


「戦力がふたり増えたでますね」


 オトネも笑う。


「……そうじゃな。

 だが、だからどうした?」


 百道が拳を構える。


「やべぇな。

 こりゃ」


 健太も足を整える。


「どうする?この殺気……

 俺らは確実に殺されるぞ?」


「……とりあえず逃げようか?

 僕たちの目標は達成した」


 吾郎がそういうと灰児も頷く。


「ヒット・アンド・アウェイってやつだな」


「悔しいけど仕方がないね」


 セロも頷く。


「じゃ、逃げますか」


 秋夫が、そういって指を鳴らす。

 するとフィサフィーの前から一同が姿を消した。


「お楽しみはこれから……ということじゃな?」


 フィサフィーが笑う。

 その部屋にはフィサフィーの笑い声だけが残った。




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