第531話 総力戦、開始.17

サラドラに石が襲い掛かってくる。

その石も凍り付き、当たれば間違いなくサラドラを通過することはない。


サラドラは炎を自分に当たるだろう範囲に絞り、放った。

石は熱せられ、赤く染まる。

体を石が通過し、ふざけた真似をと前を向いたとき、ソイツはすぐ目の前にいた。

振りかぶるハンマー。


「サウィン」


いや、大鎌。


『ーーっ!!?』


慣れない回避。本体を軌道から外すことは出来たが、翼が切り取られた。本体を切られれば再生まで時間がかかる。それが凍ったモノならば、更に倍。


ムカつく!!!


怒りを魔力に変換して、地面へと干渉した。

ここは灰の下に溶岩石がある。そこに干渉して、マグマへと落としてやる。


手を着き、魔力を流し込むと、地面が揺れ動き沈んだ。


驚いた顔のカリアは体制を崩し、杖をつく。途端、地面が盛り上がりひび割れた。動きを封じた。今のうちに仕留めないと。


サラドラは焦っていた。

恐らく、ここで仕留めないと長期戦になれば不利になると。















焦げる臭いを感じて下を向くと、ブリーギットが警告をした。曰く、火の海が来るぞ、と。


ズズズと地面が揺れ動き、隆起する。次の瞬間には無数のひび割れが入り、奥の方から赤いマグマが競り上がってきた。

残された地面が次々にマグマに飲み込まれていく。

下手に動けばこの足場も崩れる。


ふと前を見ると、サラドラが白い太陽を作り始めていた。



あれは良くない。



「?」


様子がおかしい。

サラドラが息を切らせ、必死な形相でこちらを見ていた。

白い太陽に注ぎ込まれている。

これで終わらせる気か。


どうするの?とブリーギットが訊ねてくる。

避けることはできない。もはや回りはマグマへと消えた。

残された地面も脆弱。


杖を地面に着き、せめて受けるだけの基礎を。


大鎌を解除し、カリアッハとしての装備も解除した。


ブリーギットが何をしているの!?と言われたが、カリアはそこに回されていた魔力を力へと変換した。

腕に霜を下ろしていく。


向こうがその気なら、こっちも全力を出さないといけない。


「ブリーギット、手伝って」


空を埋め尽くす白い炎が揺らめいている。

真っ向勝負だ。


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