第307話 ジャスティスとネコと.3
最初に見えたのはウニのような刺だらけの影、そして銀色ののたくる体、鎌に似た爪を地面に食い込ませながら大口を開けてこちらへとやって来る前足が生えちゃった蛇。ぱっと見はスパイクスネークだが、あの前足はどうしたんだろうな。スパイクスネークモドキとか呼んだ方がいいか?
ナマズに変化したリュワン程の大きさだが、ルツァってこれかな?
「うっひょーう!!なかなかの大物じゃないか!!」
そう言って、アレックスが発砲するのと、オレが矢を射ったのはほぼ同時だった。
それをスパイクスネークモドキは頭を振って直撃を避けた。金属のような鱗をアレックスの銃弾が掠めてチュインという音を発した。硬度もあるな。
それにしてもアレックスは遠距離攻撃型か。
それなら、オレが近距離攻撃にならないとな。
弓を仕舞い、黒刀を取り出し魔力を纏わせる。
「ネコ!行くぞ!麻痺毒に気を付けろ!」
『おう!』
ネコが虎ほどの大きさになり、接近攻撃を仕掛ける。
スパイクスネークの左右から挟み込むように移動し、オレは雷を纏わせた黒刀を振るい、ネコがナイフの様に鋭利にした尻尾を振るった。
だが、オレの黒刀は届くことなく見えない何かに阻まれた。
結界か!!
『ジャヤァァ!!』
スパイクスネークモドキが突然鳴き声をあげて体をくねらせる。その瞬間結界が消え、打ち込もうと思い、ふと上を見上げる。紫がかった半透明の触手の先が膨らんで、こちらに狙いを定めている。麻痺毒だ。
その場から飛び退くと粘りけのある液体を吐き出した。
アイツは効果が強い。体の一部にでも掛かれば数分で痺れが全身に及ぶ。
それが執拗に追ってくる。
パァンと突然触手の先が弾けとんで驚くが、どうやらアレックスが触手を撃ってくれたらしい。
『あー!もう!しつこい!!!』
その反対側からネコの声。
あちらも追い掛けられているのか?
それをアレックスが撃ってくれているらしいが、攻撃を止めない。さすが蛇だ。
「無理すんな!一旦飛んで待避していい!地面に出されたやつでも踏んでも麻痺るから!」
『分かってるよ!』
雷の矢を射ち込む。
すると、スパイクスネークモドキの全身が痙攣するように跳ね、顔をこちらに向けた。
「お、雷めっちゃ効くんだな」
その証拠にこちらを完全にロックオンしている。そしてとぐろを巻き始めた。
これは、突進が来るな。
「アレックス!アレックス!」
「なんだい!?」
「電撃効果の銃弾とかできる!?」
「できるよ!!それをどうするんだい!?」
「オレがしばらく狙われるから、隙を見て目とか口のなかに撃って欲しいんだけど!!」
「俺どっちかっていうと爆発系が好きなんだけど!!」
「わかった!基本電撃で、いけると思ったら爆発で!!」
「よし!!援護は任せろ!!」
アレックスの戦い方がいまいち良くわからないからな、この戦いで掴んでいくしかない。
身体能力向上を発動させた瞬間、スパイクスネークモドキが飛び掛かってきた。
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