第221話 休養中.5
(うえええええええ!!!何これ気持ち悪い!!)
見た目は完全に、祟り神のニョロニョロ。
しかも粘りけが凄いらしく、水中なのに糸まで引くというとんでもない粘着性。
アウソがそこにある大きめの石を取って、それで掬ってみると、ぬとっとした物が掬い取れた。
ちなみにアウソは掬い取っている間これでもかというほど嫌な顔をしていた。それでもやるお前は凄いと思う。
ヒラヒラと手を振って会話開始の合図が送られる。
「(この気持ち悪いの取り払って、どうやって出てるのか確かめる。直接触るのは危険)」
「(オーケー、石で削り取ればいいんだな)」
そこらにある石を集め、地道に削り取る。その途中でネコから残り十分だと知らせが来た。残り時間はもう半分か。
それでもできる限りはやっておこうと黙々と作業をしていると、ようやくひび割れが確認できた。それと、ひび割れの間にいる何かも発見。
「ゴボボ…(!!?)」
ゴキブリに似たそれに驚いて思わず空気を吐き出してしまう。幸い空気の結晶まで吐き出すことはなかったが、それはその隙を付いてひび割れの奥へ逃げようとしていた。
それにすぐさまアウソが反応。
槍を突き刺し引きずり出そうとするが、中に何かを引っ掻けているらしく出てこない。
急いでアウソと共に引き抜こうとして、オレは見てしまった。
ひび割れ一杯に蠢くそいつらを。
(ヒィィィィィィィ!!!!)
鳥肌が止まらない!
できることならばアウソの槍に突き刺さっているだろうソレも確認したくはないが、槍を置いて行くわけにはいかない。
壁に足を突いて力一杯引っ張るが、水の中だとうまくいかない。
『あと5分』
(やばい時間もない)
「(先に上がってろ!!)」
「(もう少しいける!!あとちょっとで抜けそうだ!!)」
でもそろそろいい加減に抜けてくれないと本当にヤバイ。
抜けろ!!と心のなかで叫びながら、アウソとタイミングを合わせて力一杯引くと、ようやく槍が抜けた。ゴキブリ付きで。
「グボッ!?」
アウソがオレの襟を掴んで急いで穴を抜け浮上をしていく。途中で空気が切れ、呼吸ができなくなる。
先程よりも早い速度で浮上し、ようやく水面が見えた。
「ぶはぁっ!!」
「げほっげほっ!!」
口の中の結晶を取り出してからようやく肺一杯に空気を吸い込むことが出来た。ホッと息をつくと同時に凄く頭が痛くなり、気持ちが悪い。
あれ?これしばらく息止めてたからか?
なんだか足元がふらついて座り込んでると、アウソがオレの様子に気が付きやって来た。
「あー、やっぱ潜水病になってる。だから先に上がってろって言ったやっし」
「これ潜水病って言うのか…」
初めて知った。
「大丈夫ですか!?」
クユーシーがタオルを持ってやってきた。そして、アウソの槍の先を見て分かりやすいほどビビり、槍から距離を取りつつ近付いてきた。
「どうぞ」
「ありがとう」
タオルを受け取りつつ、ネコを見ると、ネコはゴキブリをガン見していた。
喰うなよ。絶対喰うなよ。
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