ヤンデレ勇者と真面目な暗黒騎士のフォークロア

作者 空色蜻蛉

8

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★★★ Excellent!!!

残酷な世界観を描きつつ希望に満ちたラストまでを走りぬけた大作であり、愛と希望の物語です。

まず導入の部分が素晴らしいのです。
あらすじにある通り主人公というべきカイトが仲間を裏切り、出奔するシーンから始まります。倒れる女神官、混乱する仲間たち、ひとり覚悟を決めて勇者パーティを抜けていくカイト。
勇者パーティというと「絆・努力・勇気」な仲良しパーティ頭に浮かびますが、物語は聖騎士の裏切りからはじまるのです。

どうです、続きが気になりませんか?
気になった方はぜひ小説を読んでください。
あまりネタバレをしたくないのですが、キャラクターについても少し。

タイトルにある通り、このお話は《ヤンデレ勇者》が核となっています。パーティの要である勇者ジェイドは孤児院で育ちます。少し癖のある性格だった彼が唯一仲良しだったのがカイト。

カイトが抜けたあと、ジェイドは本性を現していきます。
いわく、カイトがいなければ勇者なんてやりたくない――。
わがままかっ!
ツッコミはさておき、ジェイドはカイトのことが大好きなので、勇者なんてやりたくないよと駄々をこねくり回しはじめます。(要約すると……。)ジェイドのためを思ってパーティを抜けたカイトの気持ちなんかかけらもわかってない子供っぷり……そう、カイトは愛が重い男だったのです……。
そもそもジェイドがそうなってしまったのも、カイトが甘やかしたせいではないかな? と読み手に伝わってしまう、この、色々こじらせた二人の関係性を勇者界の世界遺産に認定します。根拠はわたしが好きなので。認定の暁には副賞として5000兆円を贈ります。

ふたりがどうなるのか固唾を飲んで見守っていましたが、希望に満ちたラストシーンがすてきでした。
ジェイドは最初から最後まで世界を救おうとか大それたことは考えず、たったひとりだけに焦点を当てていて最後は逃げずにその誰かを救った… 続きを読む