千万の音が束なしその牙を我にむくとも足掻きやまめや

【読み】

 ちよろづのおとがたばなしそのきばをわれにむくともあがきやまめや


【語釈】

 千万――限りなく多い数。無数。[参考:デジタル大辞泉]


【大意】

 一千万(それほど膨大な量)の音が束をなしてその牙をわたしに剥くとも、わたしの悪あがきは続くであろう。


【附記】

 わたしはむかしから今にいたるまで音声に対する敏感さに悩まされている。宿痾とよぶに相応しい。


【例歌】

 千万のいくさなりとも言挙げせず取りてぬべき男とぞ思ふ 高橋虫麻呂


 むこ川の水脈みををはやみか赤駒の足掻くたぎちに濡れにけるかも 作者不詳

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