たのしみはむづかしげなる書きものを思ひのほかに読み得たるとき

【読み】

 たのしみはむづかしげなるかきものをおもひのほかによみえたるとき


【語釈】

 書きもの(書き物)――①書いたもの。文章や書類。②文字、文章などを書くこと。③演劇用語。(イ) 新作の脚本。書き本。(ロ) 舞台上で使用する証文、手紙、血判状など作者部屋で書いておくもの。[参考:精選版 日本国語大辞典]


【大意】

 たのしみは、むずかしそうな文章を思いのほか読むことができたときである。


【附記】

 執筆時現在、『楚辞』を読んでいる。最初は苦行の様相を呈していたのが次第に無理なく読めるようになってきた。ひとはいざ知らず、わたしの読者体験はしばしばこのような経過をたどるようである。先日なにがしのライトノベルを読んだときには、当初こそ文章のつたなさが目についたものの、ひとたび火がつくや寝る間もおしんで読みふけったものである。


【例歌】

 たのしみは紙をひろげてとる筆の思ひの外にくかけし時 橘曙覧たちばなあけみ

 たのしみは百日ももかひねれど成らぬうたのふとおもしろく出できぬる時 同

 たのしみは世に解きがたくするふみの心をひとりさとり得し時 同

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