なかなかに鳥にならずは沖合に浮かぶらつこにならましものを

【読み】

 なかなかにとりにならずはおきあひにうかぶらつこにならましものを


【語釈】

 なかなかに――①(打消や疑問の表現を伴って)中途半端に。なまじっか。②(仮定の表現を伴って)いっそのこと。むしろ。[参考:精選版 日本国語大辞典]


【大意】

 鳥になれないならばいっそのこと、沖合に浮かぶラッコになれればよいものを。


【附記】

 空が無理なら海ということである。


【例歌】

 中々に人とあらずは酒壺になりてしかも酒に染みなむ 大伴旅人

 中々に君に恋ひずは比良の浦の海人ならましを玉藻刈りつつ 作者不詳

 中々に死なば安けむ君が目を見ず久ならばすべなかるべし 平群女郎へぐりのいらつめ

 あふ事のたえてしなくはなかなかに人をも身をもうらみざらまし 藤原朝忠

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