わたくしに俳諧的の野心あり成してならざることやあるべき

【読み】

 わたくしにはいかいてきのやしんありなしてならざることやあるべき


【大意】

 わたしには俳諧( ≒ 俳句)に関する野心がある。成し遂げようとしてできないことがいったいあるものか。


【附記】

 早くに成った上の句に合う下の句を吟味することで成立した。こうした言わば「独り付け合い」はときに起こるものである。わたしは句切れの中では三句切れがもっとも好きかもしれない。かつては二句切れで、三句に枕詞を持ってくるようなものを短歌の理想としていた気もする。

「や」は疑問・反語の助詞である。疑問と反語を厳密に区別することはそぐわしくないと思うものの、「べし」という強い助動詞を用いたことで反語的なニュアンスを帯びるのではなかろうか。


【例歌】

 をのこやも空しくあるべき万代よろづよに語り継ぐべき名は立てずして 山上憶良

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