いかで我益荒男子に生まれけむ未だに事を成し遂げずして

【読み】

 いかでわれますらをのこにうまれけむいまだにことをなしとげずして


【語釈】

 いかで――なぜ。どうして。

 益荒男子――ますらお。立派な男子。ますらたけお。

 生まれけむ――生まれたのだろうか。「けむ」は過去の推量を表す助動詞。


【大意】

 どうしてわたしは男子に生まれてきたのであろう。未だに何事かを成し遂げることもしないで。


【附記】

 山上憶良(660-733頃)が晩年に病み臥した折りに詠んだという歌「をのこやも空しかるべき万代よろづよに語り継ぐべき名は立てずして」を模倣した。


「ますらお」が英語の"muscle"やラテン語の"masculus"(男の)とよく似ていると思うのは考えすぎだろうか。


 推敲前、第四句「未だに何も」。


【例歌】

 丈夫ますらをや命死ぬとも万代に名は朽ちめやも波頭迦志美思倍はづかしみもへ 魚彦なひこ

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