この国に桜を愛しむ民ありしとこの世のかぎり語り継ぎこそ

【読み】

 このくににさくらををしむたみありしとこのよのかぎりかたりつぎこそ


【語釈】

 愛しむ――「愛する。めでる。慈しむ」(デジタル大辞泉)。

 こそ――「《上代語》用言の連用形に付く。願望を表す。…てほしい。…てくれ」(デジタル大辞泉)。


【大意】

 どうか、この国に桜を愛する民がいたと、この世が続くかぎり語り継いでほしい。


【附記】

 この国から日本人がほぼまったくいなくなった体で詠んだ。自画自賛すると、わたしのもっとも崇敬する歌人(のひとり)である山上憶良(660-733頃)の作風にすこし近づくことができたかなと思っている。


 推敲前、四句「千代に八千代に」→「とこしなへにし」→「千歳の後に」。


【例歌】

 をのこやもむなしかるべき万代よろづよに語り継ぐべき名は立てずして 山上憶良

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