外つ国の花と思へど青丹よし奈良にしあれば古思ほゆ

 くにはなおもへど青丹あをによし奈良ならにしあればいにしへおもほゆ


「外つ国」は外国。

「青丹よし」は「奈良」を導く枕詞。枕詞は通常訳出する必要がないようだ。

「奈良にあれば」の「」は調子を整える語。

「思ほゆ」は思われる。


 (比較的最近になって)外国から入ってきた花だろうとは思っても奈良にいて見ると(そこに都があった)当時のことが思われてくる。


 いつだったか、昔の野山に咲いていた花のありようは今のそれとかなり異なっていたかもしれないという話を聞いた記憶がある。多かれ少なかれ今と昔とで違いのあることに疑いはない。奈良時代であればまだ外来の植物は現代とくらべて圧倒的にすくなく、わるく言えば地味、よく言えば素朴な感じだったのだろうか。


 平城京が唐の長安をモデルに作られた、当時からすればおそらく異国趣味の空間であったろうと想像するので、比較的最近になって定着した外国原産の花であってもその姿に平城京の昔を想うわたしの感性はあながちまちがいないのではないか、などと勝手なことを思っている。

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