第108話

「あちちちっ」

町田の仲見世と言うディープな闇市みたいな場所の入り口にある焼き小籠包のお店。

熱々のスープを小籠包からチュウチュ啜うと口の中が火傷する程熱い。

でもとっても美味しい!

スープを啜った後に黒酢を少々ポタポタっと垂らすとまた違った味わいに。

隣にいる恵ちゃんと目を見合わせてニッコリ。

寒い日に外で食べると格別に美味しいわ。

店のガラスに「火傷に気をつけて、齧り着いて汁を飛ばして服を汚さない様に」なんて注意書きが貼ってあるわねぇ。

私も着物を汚さない様にしなきゃね。

あら?入れ物に入った焼き小籠包を頼んで何個か胸の谷間に収納してるわ。

後で温かいままか確認させてもらいましょう。

それに寄っては新たな物流革命になるわね。

恵ちゃんを私のお使いの時にバイトで雇えれば・・・。


焼き小籠包を食べた後に直ぐ近くにある雑貨屋さんみたいな本屋さんへ行く。

ビレッジバ○ガード?

うっ!チープな物がいっぱいある!ウォ○カチョコの詰め合わせ?こんなの見た事無いわ!

何と表現したら良いのか分からない物が沢山ある。

二階には怪しい雑貨と不思議な本がたくさんある。

うっ!

パンダの親子がパンダ専用の銭湯に入って白熊になってる絵本に、竹輪が街中を歩き回り縄跳びをやって遊んだりする絵本がある!

三匹の狼さんの家をダイナマイトで悪い豚が破壊する絵本まで・・・世の中知らない事っていっぱいあるのねぇ。


恵ちゃんは、アメリカのコーラや不思議な色のお菓子なんかを買い込み胸の谷間の収納にポイポイっと放り込んで「蜜ちゃん、パイ○ラーメン食べてみない?」と笑顔で聞いてきた。


町田ってかなりディープな街なのねぇ。

店の外にでて恵ちゃんに先程買った焼き小籠包を出して貰ったら熱々のままなのを確認してから恵ちゃんと直ぐ近くにあるパイ○ラーメンのお店にやって来た。

あら、並んでる人がかなりいるわ。

自販機で食券を購入。

恵ちゃんお勧めの海老塩パイ○ラーメンをチョイス。

食券を渡して暫く待つと目の前にちょっと薄黄色い感じがするラーメンが置かれた。

甘い香りはそんなにしない、レンゲでスープを啜ると。

口の中に強すぎない甘みと酸味が広がる。

んんっ?後から塩のスープの味が解る感じ。

細麺と一緒に口に入れると・・・美味しい〜!パイ○と聞いて身構えてると違う方向で裏切られるわねぇ。

甘みと言うかコクがあると言った方が良いかしら?それに酸味が心地よい。

気がつくとペロリとスープまで飲み干している。

隣のお兄さんはつけ麺のスープ割りを貰って飲んでるわ。

私もお使いで色々な食べ物を知っているけれどもこれは新しい発見ね。

横に居る恵ちゃんの手を取り「恵ちゃんの能力を活かしてバイトしない?」と提案した。


いくら暗闇から暗闇に移動出来ても大量に運ぶのは骨が折れる。

そこで恵ちゃんの収納に入れて貰って運べば?

それこそ、定期的に頼まれる物を先に収納して置いて貰えればとってもお使いが楽になる。


私は買い物籠から自分のお財布を出してパイ○ラーメンの食券機に一万円札を挿入してパイ○ラーメンを買えるだけ買い込み恵ちゃんの収納に入れて貰う事にした。

(ちゃんと大量購入はお店の人に断って迷惑にならない様にしましたよ)

この熱々のパイ○ラーメンを地獄の閻魔様や天界のゼウ○様の所に持って行ったらとっても喜ぶと思うんだ〜。


ラーメンを用意するのに少し時間がかかると言われ一旦翡翠さんがどうなったか帰ってみましょうか。


お茶屋さんの喫茶室に戻ると涙目の翡翠さんが恵ちゃんに抱きついて「恵ちゃんと離れていると何だか不安になって気持ちが落ち着かないのまた私を収納して〜」と泣いている。


「これは、恵ちゃんの備品1になった弊害かねぇ。恵ちゃん説得するまでも無く翡翠は貴女が居ないと駄目みたいだから翡翠の事は頼みますね」

黒蜜おばばが、そう言って頭 を下げる。

白龍さん達も同じく揃って「翡翠を宜しくお願いします」と言うと頭を下げてた。


「えー!皆さん頭を上げて下さいよ。大丈夫ですよ、翡翠さん私のダーリンなんですから誰にも渡しませんし多分、離れていても『えいっ!』」

と恵ちゃんが気合を掛けると翡翠さんが恵ちゃんの胸の谷間にシュルツと収納された。

ビックリしている皆に

「何せ翡翠さんは私のダーリンで備品1なんですから私が戻れっと思えばホラこの通り」


ニッコリと笑った恵ちゃんを見て皆は

『コレは、マジにヤバイのを魔女にしてしまったな』

と思っていた。

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