第25話

「話しは大体解って来たけど、甲斐犬黒蜜と言うのはそこの浴衣の女の子?深紅のチョーカーに付いている我が徐仙術家の使い魔の証しである古銭を付けていると言う事は?」

「はい、紫苑叔父さん。私の蜜子から一文字取り蜜と名付けました。真名は”黒曜の蜜”です。いにしえの使い魔の様に暗闇から暗闇に移動する能力があります。只今、紅の息子に作った”特人化促進魔法薬”により人化しており。ちなみにこの蜜は地獄より腕輪と宝珠、さらに地獄の使者の称号を受けています。」

「地獄の使者?またそんな不老不死の凄い者になった物ね。それに古銭の両脇の牙は誰の?この子は例えマグマに放り込まれても護られるわよ?!」

「その牙は三途の河の奪衣婆と懸衣翁の物です」

「これまた恐ろしい方々から護られてるのね。これも何かの必然でしょうね。この蜜ちゃんなら気軽に月に移動できる能力があるし宇宙に行っても死にもしないし熱くも寒くも無い月にお使い何てこの娘で無ければ出来やしないわ正に時代の必然でしょうねこの娘の存在は」

私の事で何やら大変な事を話している様だけれども私の視線は氷の入った容器で冷やしてある先程飲んだシャンパンの残りに釘付け。

視線に気が付いた紅さんが微笑みながら。

「うちのお嫁さんは、何と度胸の有る娘かしら。世界の危機よりシャンパンの事しか考えて居ない何てね。あの息子には勿体無いわねこの娘は」

新しいグラスを人数分出しシャンパンを注いてくれる。


「この娘の度胸に乾杯!」

紫苑さんがそう言って杯を掲げ一気にシャンパンを飲む。

私は、一気にでは無くチビチビと味わいながら楽しんでいる。

「嫁と言うと紅の息子と蜜ちゃんが結婚するの?おめでとう、紅。結婚式では歌ってあげるよ」

「まあ、ありがとうございます。紫苑様、祖父の巌も喜ぶ事でしょう」

「巌ちゃんもまだ元気なの?人狼族も長寿だから生きているだろうけど」

「はい、蜜ちゃんが嫁に来ると解ったら自分と代われと」

「相変わらずだなあの人も、時に白龍、いや龍子あの時私が妹の怒りから逃げようと異空間に入った時に怒り狂った状態で放たれた妹の電撃で魔方陣が壊れて私は異空間に飛ばされてしまったけれど。つまり怒りの理由、妹の可愛の弟子である龍子を孕ませ妹を怒らせた・・・あの時の私と龍子の子供はどうなったの?」

それまで黙っていた白龍さん。

「台北で元気に女装しながら魔導師をやっていますよ息子の翡翠ひすいは紫苑の妹で蜜子の母親、そして僕の師匠でもある。”雷帝”の異名を持つ世界最凶の人。”雷の魔女・徐震電”さんの元で・・・女装って遺伝するの?」


それを聞いた私はシャンパンを吹き出しそうになった。勿体無い。でも女装は遺伝しないと思う。

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