第8話復讐の始まり
現場に着くと新旧差別派と覇王学園の教師と二年生と三年生の、戦闘が得意な者たちが交戦していた。
状況は新旧差別派が全体で20人程、覇王学園側も教師、生徒合わせて6人から7人程が戦闘不能になっていた。いずれも死んではいないが傷だらけの状態だ。
「クソ‼一体何が起きているんだ!」
誠一郎は顔を真っ青にして叫んだ。
「おやおやこれは赤城誠一郎くん、どうしたのかい?そんな真っ青な顔して。リーダーが君の母親を殺してもう7年たったって?」
と男。
「それでここになにしに来た」
「惚けるなよ誠一郎くん」
君は、
「10日前、わたしの大事な部下を虐めてくれたね。それの報復に来たんだよ。そしてここに人質が一人いる。これ以上近付いたら彼女がどうなっても知らないよ」
と男。さらに
「あともうひとつ、君が背負っているその剣をこちらに渡してくれるかい。わたしも人質は丁寧に扱いたいんだ」
第22部隊のリーダーの側近が、提案する。
「それで人質は助かるんだな」
「勿論さ。このまま素直に渡せばね」
誠一郎は武器渡そうとした。そのとき、男の目の前の空間が揺らぎエリスが現れた。
男は背後に飛び退き
「これはこれは、ラティアーク家のお嬢様。一体なんのご用件で?」
男はエリスがきた意味を問うとエリスは誠一郎にむかっていった。
「誠くん、この戦闘が誰が起こしているのか検討はついているんですの」
エリスは剣を構えたまま誠一郎に聞いた。
「ああ、勿論」
うなずいた。
「それなら先に行って。私があいつの相手をするから」
「ああ、頼んだぞ。必ず勝ってこい」
そういいながら誠一郎は走り出した。
エリスは誠一郎を背中で見送ると、
「いいのかい?彼一人にリーダーの相手を任せて。みたところそこまで腕が立つような感じはしないけど」
側近の男は完全に誠一郎を見誤っている。
自分自身も相手をE組と侮っていたため負けてしまっていた。彼に負けたことで、相手の実力を見定めることがどれだけ大切かを知った。側近の男はそんなこともわからないほど部下を傷つけられたことに対して腹を立てていた。
「あなたは見誤っている。彼の強さを。そんなんだから第22部隊の副官で止まってしまっているんですの。もっと相手を観察すべきだと思いますわ」
相手にとって痛いところをついている感じがしていた。そしてそれは、当たっていたということを反応を見て気づいた。
「五月蝿い。そんなこと、言われなくてもわかっている。それが出来ていないからこうやって誰かの下につくことになっているんだ。そしてここでお前もあの男も倒し新しい部隊のリーダーになる」
「話はこれくらいにして始めましょう。早く追い付かないといけないんですので」
そういってエリスは剣先を相手に向け構える。
相手も武器を出す。目の前に現れたのは弓と矢だ。弓を前に突き出したまま構える。
「それじゃあ、始めようか」
そう言うと同時にエリスが前へ走り出した。
その瞬間、側近の男の姿が消える。
突然のことに驚いたエリスは立ち止まり周りを見渡す。しかし男の姿は視えない。
逃げたという考えが頭に浮かぶが、すぐに心の中で否定する。
ふいに気配を感じたエリスが空間断層の障壁を展開した。
その直後大量の矢がエリスに向かい飛んで行く。障壁によって矢は全て弾かれる。
そして側近の声だけが聞こえてくる。
「今のが防がれるとは。しかも今のは空間系の能力だな」
肯定の沈黙をするエリス。
「そっちこそ。透明化の魔法を見たのは初めてです」
側近は木と木を飛び移り、その度に矢を放つ。エリスは矢が放たれる度に空間断層の障壁を生みだし、矢を防ぐ。そして矢を補充しようとしたタイミングでエリスは木に対して空間を破裂させる能力を使う。同時に何本も破壊したため、あたりが野原となった。
そしてすぐさま、ある能力を使用。
内容を知らない側近は隠れて様子をうかがう。そして気づいていなかった。空間転移で近くにエリスが移動してきていることに。そして気づいたときには空間が破裂させられていた。その衝撃がかすり、血が吹き出す。
「くっ。よくも傷つけてくれたな」
呻くように言うと姿が消える。そしてすぐに矢を大量に放った。
矢の方も、見えなくなっていた。ただエリスは慌てていない。
先ほど発動した能力、空間把握によって矢は見えていなくても、どこにあるかを把握できていたからだ。空間を大きく破裂させた。
矢は衝撃波によって全てはたきおとされ、それにとどまらず地面にもクレーターができていた。
「くそ。なん・・・」
なんだと言おうとして、息を呑む。目の前に空間転移してきたからだ。
エリスは両手を前に出し手を叩く。すると周りの空間が圧縮されていく。
「がはっ」
と声を漏らす。
エリスは空間に穴を開けるとそこにさきほどの男を入れた。
実はここを通ると学園内部にはいれるのだ。
ただし、学園長の目の前にいってしまうが。
空間が閉じるのを見送ると、
「早く誠くんのところへ行かないと」
そういうと空間転移をして誠一郎のところへと向かうのだった。
その頃、第22部隊のリーダーと覇王学園の二年生二人が戦っていた。
「はあああぁぁあぁぁ」
「おりゃああぁぁあ」
気合いの声と共に二人は畳み掛けるように攻撃し続けているが相手には傷ひとつ着いていない。自分達の攻撃が全て跳ね返されているからだ。
「なかなかの連続攻撃だがその攻撃じゃ俺には傷ひとつつけられないぞ」
と余裕の笑みを浮かべて攻撃をかわしながらも反射を行っている。
「くっ」
「うぐっ」
反射された攻撃を衝撃波で相殺しているが全ては対応し切れず少しずつ傷が増えていく。
それでも攻撃を続けていると
「そろそろ飽きたし決めるか」
そういうと相手の攻撃をかわしたりしていたがかわすことなく相手の攻撃を全て跳ね返した。
対抗手段を変えたため覇王学園の二年生二人のコンビは対応できず自分達の衝撃波で命を散らす。その筈だった。だが、
「俺の前で何回も人を殺そうとするんじゃねえよ」
そういうと同時、少年が目の前に現れ、先程手が出せなかった攻撃を全て斬った。
「お前か、報告にあったという少年というのは・・・って久し振りだな。俺が殺した母親の息子さんよぉ」
「まさかここで会うとはな。あそこであの男を倒しておいて正解だったってわけだ」
「お前に負けたあいてを愚弄するとは。仮にも戦士であろう者が」
「新旧差別派に属しているお前がそんなことを言える立場か」
新旧差別派とは、固有武装を持っていない旧人類を支配するという思想をもった者たちだ。
先程誠一郎が言った言葉と同じ意味を持つ派閥だからこそ言っていることがやっていることと異なっているという誠一郎に対し、
「お前は俺らとなにか通じるものがある。どうだ、新旧差別派に入る気はないか」
と誠一郎の言葉に、自分達と同じものを感じると悪の道に引きずりこもうとするが
「生憎とお前らが俺の母さんを殺した時点
そんな選択肢はない」
と切り捨てると
「そうか。お前となら解り合えると思ったんだがなぁ」
そういうと同時、リーダーの男は素早く銃を放った。すると
「わたしの仲間に手を掛けるなぁぁぁあぁぁ」
とエリスが俺の前に空間障壁を張ってくれた。
「ありがとう、助かった」
「へぇー、俺の側近を倒したんだな」
と感心しているリーダーの男。
「ごめんなさい、私そんなに弱くないのよ」
胸を張るエリスに君の力を見てみたいと言ったリーダーに
「そんなに見たいのなら見せてあげますわ」
と同時、剣を振るうと空間が割れ衝撃波がリーダーの男を襲う。
「へぇ」
と間の抜けた声を出すと、衝撃波がエリスに跳ね返る。
息を呑んだセリスだがなんとか空間障壁を展開できた 。だが
「残念だったなぁ」
声が聞こえたときには遅く、リーダーの男の銃が火を噴く。
もうダメだと諦めかけたとき、誠一郎はいつかの森の中のときのように剣戟を面状にして剣を振るった。
その結果弾丸が跳ね返りリーダーの男を襲った。それを上体を反らして避けた。
・・・ん?なんで跳ね返さなかったんだ?そう思った。とひとつの考えが頭に浮かんだ。
もしやと思い、体倒崩速(ていとうほうそく)を使用。接近し剣を横薙ぎで放った。
続く
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