第2話 モフロボとアイツ

 私は今まで動物を飼ったことがない。そんな私でも動物を飼える時代がついにきた。嫌いじゃないのに触れない、くしゃみが止まらない。だからこのモフロボを家に置いた。映像は何パターンがあって、飽きたらペットショップや電気屋さんで違うものを買える。だけど私は気に入った最初の映像をずっと流していた。ペットショップでも体験した、この、も、もふもふ…

 耳の感触、尻尾はフサフサ、大きな声で吠えないし、散歩も餌もトイレの世話さえいらない。なのにもふもふ。私は満足していた。


 私は今までお掃除ロボットを買ったことがない。そんな私でもロボットを買える時代がついにきた。欲しいのに手が出せない。値段が高い。だけどお掃除ロボットは値下げされた。高性能のお掃除ロボットが我が家にやってきた。アイツは来るやいなやモフロボへ一直線。まあロボット同士だし気にしていなかったら、静かな音でモフロボを吸い始めた。え?何、私が見落としてるだけで抜け毛あるの?と近寄るが何もない。しつこくモフロボを攻める。うっとおしく思ったのかモフロボが吠える。お掃除ロボットのレイラは諦めたのか周囲を掃除する仕事に戻る。タイミング良かっただけかな?こんな大きな声初めて聞いたけど、初めはそう思っていた。

 次の日、

 ガシャンガシャ、ガシャ

 朝早くにロボットの歩くような音がする。レイラに足でも生えたのかと寝ぼけ眼で見にいくと、モフロボが自分の足元の映写機を壊していた。私を見つけると甘えるような声が出す。少しだけビビりながら撫でる。嬉しそうに尻尾がパタパタと揺れる。そして私に嬉しそうに飛びついた。なんと見た目ではわからないがもう映写機は壊れていたようだ。


 そして今日もガシャとレイラは遊んでいる。最近レイラもペットだと思うようになった。レイラの硬いボディをペタペタさすさすしていると、ガシャにすごい目で見られた。お、おこだ。撫でるからおいで、と声をかけて2人とも撫でる。レイラも掃除モードなんだけど近づいたガシャと喧嘩せずおとなしく撫でられているあたり、本当のところわからない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る