南の島の海で紡がれる、無垢で狂おしい愛のことば

美しい南太平洋の島、目に痛いほどまばゆく輝く海と空を感じる作品です。
ラブストーリーではありますが、恋ではないのかもしれない。
島の娘・プナの熱く激しい思いは、素朴、というより原始的です。でも、だからこそその純粋さに胸を打たれます。
これほどまでに焦がれているのだと。これほどまでに求めているのだと。
感情が渦のように胸に押し寄せてきて、こちらまで焦燥に駆られます。
彼女の想いが届くことを願うと同時に、マヌにも自由な未来を選択してほしい気持ちも浮かんできます。
いつまでも島でじゃれ合う幼い二人ではいられません。
でもプナにはそれに気づかないでほしい。ずっとずっと、叫び続けてほしい。

ルビに使われるカタカナのことばが本当に南の島の雰囲気でとても素敵です。

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