第五十五話『朝』

「じゃ、明日迎えに来るからね!」

とニコは笑顔で言って、自分の家に帰っていった。


僕は部屋に戻って身支度をしてから、ベッドの上に乗っ転がった。


「今日はほんとにいろいろあったなー」

と今日の遠足の事を思い出した。

結果的に言えば、遠足というレベルではない大冒険だった。

そう、結果的に、この森を支配するキングゴーレムと戦うという大冒険になったのだ。


今日のことを最初から振り返る。

朝起きて、ごはんを食べて、スライムを倒して、ゴブリンを倒して、モンスターコウモリを倒して・・・キングゴーレムを倒したのだった。


ハード過ぎる・・・。


「仕事し過ぎだよなぁ・・・」

と天井に向かって語りかけて、僕は笑った。


そしてスキルも手に入れた。

なんとか普通に戦えるレベルになる程度には、スキルを手に入れたといえるだろう。最初のヒカルの目的の僕がスキルを手に入れるというものだったので、それもしっかり達成できたといえる。


「うん、さすがに、疲れたね・・・」

と呟いて僕は寝てしまった。


そして、僕の体感的には、一瞬後。

ドカドカと音がする。

何かが走ってくる。


「さ、タカシ行くわよ!!」

とニコがドアをバンっと開けて行った。


その音で僕は目を覚まし体を起こす。

「う、うん、もうそんな時間?」

と、なんとか声にならない声を絞り出す。


「朝よ!朝!!もうお店もだいたいやってるわよ!」

と僕が寝ぼけながら聞くと、ニコは元気よく答えた。

ニコは朝から元気だなぁ、と思った。


「で、今日はどこに行くんだっけ?」

とニコに聞く。


異世界でデートってなにをしたらいいんだろう。

もちろん、元いた世界でも、デートで何をするべきなのかは知らない。映画とか見ればいいのかな?もしくは、遊園地?絶対どっちもこの世界にはないよなぁ。


「タカシに見せたい場所があるわ!」

とニコが微笑んだ。

その笑顔はなかなか素敵だった。


「でも、その前にごはんね!」

とニコが言う。


「ん、学校で作る?」

と僕は聞く。

まだ少し寝ぼけている。

いつもどおり学校で食べるかな?と思って聞いた。


「いや、今日は、リオンとヒカルは来てないし、外で食べましょう!」

と言う。


「外かぁ」

なかなかそれも新鮮だった。


僕はここに来てから、毎日皆で、学校でご飯を作って食べていた。

それはそれで、なかなか楽しかった。

ヒカルが料理が上手なので、何を作ってもかなり美味しいのだ。


「はい、わかったら、さっさと支度しなさい!!」

と、ニコが言う。


「りょうかいー」

と寝ぼけながら返事をして、着替えをする。

よろよろ動きながら、着替えを済ませる

「おわったよー!」

と僕がニコに言うと、遅いわよ!と言いながら戻ってくる。


「さ、パン屋さんに行くわよ!!」

とニコが言う。

その言葉を聞いて、パン屋さんか、それはいいな、思った。

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