第四十六話『炎弾 - ファイヤーバレット』
「巨大なゴーレム・・・?」
そう、そこには、前回倒したゴーレムより一回りも二回りも大きいゴーレムが立っていた。
「キングゴーレム・・・」
リオンが呟いた。
さっき、ニコが避けたのは、キングゴーレムのパンチだったのだ。
「できれば、逃げられる人は逃げて!」
とヒカルが言う。
そう、皆で協力して倒そう!
ではなく、出来る人は逃げろと。
あのヒカルがそう判断したのだ。
「全滅は避けたい。」
と、ぼそりという。
普通に戦えば、全滅してしまう、そのレベルの相手だというのだ。
この三人が戦ったとしても、だ!
僕がまったく歯がたたない、この三人が!
「そんなレベルの相手なのか・・・」
と、僕が呟く。
そんなレベルの相手に遭遇してしまうなんて。
軽いピクニックぐらいの気持ちだったのに・・・。
「キングゴーレムはここの森のボス」
とリオンが言う。
「普通はこんな手前には、いないはずなんだけどね。こないだゴーレムを倒しちゃったからかも」
「キング自ら復讐に来たというわけか・・・」
とヒカルの説明で、僕は、なんとなく話を理解した。
前回、街に来ようとしていた、ゴブリンとゴーレムを倒したことにご立腹ということらしい、キングゴーレムは。
「キングゴーレムには、私達だけじゃ勝てないわ・・・なんとかして、街に戻りましょう。皆で」
とヒカルが言う。
いつもの笑顔はそこにはなかった。
それだけ、緊急事態ということなのだろう。
なんとかして、逃げる方法を考えている。
『出会ってはいけない敵』だったのだ。
とはいえやるしかない。
『追尾投擲 - ホーミングスロー』
スキルを発動させる。
僕は、いきなり、ナイフを投げた。
相手の隙をついて攻撃できた・・・はずだった。
『土盾 - マッドシールド』
と、キングゴーレムが、スキルを発動させると
空間に円形の何かが発生する。
そしてそれがすぐに盾だとわかる。
「まじかよ・・・」
そして、僕の投げナイフは、その盾に吸い込まれた。
大事な投げナイフのうちの一本が・・・。
残りは2本しかない・・・。
そして、キングゴーレムは、そのままこちらに走ってきた。
こいつ・・・でかいのに、動きも速い!!
そのまま、盾で体当たりされて吹き飛ぶ。
「ぐは」
そして、また、地面に倒れる。
そのまま、キングゴーレムが僕に止めを刺そうとしてるのがわかる。
ここでやられるのか・・・。
こんなところで・・・。
『炎弾 - ファイヤーバレット』
とスキルが発動される。
ニコの手から、炎の弾が飛び出ていた。
そして、キングゴーレムに当たる。
すると、僕に向かっていた、キングゴーレムはゆっくりと方向を変え、ニコの方を睨む。
ニコが使ったのは、僕らが手を繋いで交換した『炎弾 - ファイヤーバレット』だった。
彼女はみんなを守るためにそのスキルが欲しいと言っていた。
まさか、僕を救うために使うことになるとは・・・。
「アンタの相手は、タカシじゃないわよ!私が相手するわ!」
とニコがキングゴーレムに対して言った。
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