第三十八話『スキル上げ』
「となると、次にやるのは、モンスター討伐だよね?」
と僕が言う。
ヒカルは、なにも言わずに、メガネを上げキラーンと光らせて笑った。
どうやら正解のようだ。
モンスター討伐というのは、正確ではなかいかもしれない。
どちらかと言うと『レベル上げ』だ。
そして、それもあまり正確ではない。
『スキル上げ』だ!
こんな単語があるのかは知らないけれど・・・。
幸いな事に、ここしばらくは、モンスターが襲ってこなかったので、必然的にモンスターと戦う機会もなかった。
しかし、いつ強い敵がくるか分からないという現状がある以上、簡単な敵を倒して、スキルを増やしておくというのが、この場合定石になるだろう。
僕もスキル一つでは、安心感がたりない。
「明日から、少し、森の奥まで行ってモンスターを倒しに行きましょう。タカシくんのスキルも増やしたいし!」
「そうだよね」
僕は理解した。ヒカルも同様の事を思っていたらしい。
さすがリーダーだ。
ここ最近の訓練は、最低限のモンスターを倒すための訓練でもあったのだろう。付け焼き刃の訓練とはいえ、やる前と今では、僕にとってはかなりの差がある。
しっかりと、わずかではあるが成長しているはずだ。
「いいわね!私も新しいスキルがほしいわ!」
とニコが言った。
もっともっとつよくなりたいし、と付け加えて。
「私も楽しみ。タカシに考えてもらった新しい『氷剣 - アイスソード』の使い方も試したい」とリオンが言う。
僕が考えたというのは、アイスソードを出してから振り回すのではなく、当ててからアイスソードを出して突き刺すというやり方の方がリオンにあっているのではないか、という提案のことだった。
そのやり取りをみて、ヒカルも『スキルの特性を見抜く』のが得意だと思ったのだろう。
「僕も『三重炎拳 - フレイムヘブン』をモンスターにためしてみないと、当てられればだけど・・・」
そう、修行の成果と、スキルの効果を同時に確認できるのだ。以前の僕とは違うはず。それが明日わかる。
「明日は深入りしないで、手前のモンスターだけ倒すつもり」とヒカルが言う。
「オッケー!」とニコが微笑む。
「わかった」とリオンが答える。
森の奥にいけば行くほど、見たことがない強いモンスターがいるとのことだった。
この街にはたまに、そういう強いモンスターがわざわざやってくることがあって、その度に、ニコたちがやっつけているようだった。
いつもどおり、部屋に戻り。
しっかりと身支度をして、ベッドに入って寝た。
ここの所体力がついてきたのか、いきなり寝落ちしてしまうということはかなりなくなった。
そして、ニコが来る前に起きた。
いつもガラガラ、とドアを開けて入ってくる。
ほんとに、幼なじみみたいだな、と思っていると。
開口一番
「さ!いくわよ!」
とニコが言う。
ハードな遠足が始まる!
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