第二十五話『修行の前に』

「これからの課題は、しっかりパンチを当てられるようになることね!」

と、ニコはにっこり笑顔でそう言った。


僕の弱点をしっかりと分かっているニコだった。

いままではラッキーパンチがあたっているだけに過ぎない、

それは僕にもしっかりわかっていた。


「これからビシバシ鍛えるわよ!」

そう、僕の修行が始まるのだった。


この異世界は転生しても、バンバン体が動く!みたいな、サービスはついてなかった。


ただ、スキルだけが違う。


そんな感じだったので、しっかりと、トレーニングしなくてはいけない。

走ったりとか・・・。


「いつまでも、帰宅部、帰宅部、言ってられないか・・・」

と僕は呟いた。


走ったりしなくてはいけない時が、僕の人生にくるとは思わなかったな・・・。


モニタとだけ仲良くしていたかった、のだけど。

とはいえ、つまらないわけじゃない。

スキルもあるし、ゲームみたいで、面白いといえば、おもしろい。


死ななければ・・・なおいいんだけど・・・。


「さて、タカシくんの修行の前に・・・」

とヒカルが言い出した。


放っておくと今すぐ修行に入りそうだった、ニコを遮り、ヒカルが話を切り出した。


なんだろう?


忘れている手続きがあったのだろうか?

さすがにあんな簡単な書類だけじゃだめだったか?

と思ったところ


「ごはんにしましょう!」

とニッコリ笑って、ヒカルが言った。


すると、二人も目をキラキラ輝かせて返事をした。

「さんせー!!」とニコ

「賛成!」とリオンが言う。

ニコは、話を遮られたことはぜんぜん気にせず、ごはんを喜んだ。おなかすいてたのかな。と、ちょっと思った。言ったら怒られそうだから言わなかったけど。


そう、ごはんの時間だったのだ。


「そういえば、おなかすいたね」

よく考えると、働きっぱなしだ・・・。

ニコだけじゃなく、僕もそういえばお腹がすいていたことに言われて気がついた。動いていると空腹って忘れちゃうからね。


異世界に到着してから、ひたすらバトル、合成、バトル、合成だ!


なかなかのハードスケジュールだった。

体を酷使しすぎだ。明日動けるかな・・・。

と、若干心配しながら、歩みを進める。


「さて、今日は何にしようかね~?」

とヒカルが皆に聞きながら、歩き始める。


メニューのことだろう。

そういえば、この世界では何を食べるのだろうか。

と思いながら、校舎に向かって歩いて行く。


「焼き肉?」

とニコが言う。


焼き肉かぁ、それはいいかも、と思った。

そして、料理方法は、元いた世界とあまり変わらないのかな、と思った。


「そうね、それが簡単でいいかね〜。今日疲れちゃったしね〜」

と、言う、ヒカル。


切って焼くだけだからね。

そして、すごく美味しい、それが焼き肉だ!!


「よっし!決まりね!タカシの転入祝いも兼ねて、焼き肉パーティーね!」

と、ニコは言った。

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