第二十〇話『速炎投擲 - ファイヤースロー』
「よし、得意な所で勝負しよう」
と僕は思考を整理して、そう言った。
「あれをやるのね!」
とニコが笑った。
そう、彼女は一回見ている。
僕の最初から持っていたスキルを。
ニコは戦いに関してはかなりカンが良い。
「あれ?」
と、ヒカルが、不思議そうに聞き返した。
彼女はまだ僕のスキルを全部は知らない。
『二重炎拳 - フレイムパンチ』は見ていたけれど、これがどうやって生まれたかは見ていない。
「そう、これ」
と僕は両手を広げて、そう言ってスキルを発動した。
毎回、両手を広げる必要はないんだけど、なんとなくイメージを掴むためにやってしまう。
右手に『高速投擲 - ファストスロー』、左手に『炎拳 - ファイヤーパンチ』を持っているイメージだ。
そして、その両手を閉じる。
『スキル合成 - シンセサイズ』
スキルを発動し、『高速投擲 - ファストスロー』と『炎拳 - ファイヤーパンチ』を合成した。
<<『速炎投擲 - ファイヤースロー』を生成しました>>
天の声が聞こえた。
どうやら、成功したようだ。
よかった。
名前からみて、僕が期待していたものが出来たようだ。
「シンセサイズ??」
とヒカルが言った。
そんなスキルがあるの??と驚く。
聞いたことがないという様子だった。
「あるみたいなんだ」と僕は笑った。
そういいながら、ニコが投げ返してくれた、ボールを掴んでみせる。今度は新しいスキルを使って、このボールを投げてみる。
『速炎投擲 - ファイヤースロー』
と、スキルを発動させて、投げる!!
真っ直ぐな軌道を描き僕の手から離れた球は、まっすぐ目標である木のサンドバッグに、向かっていった。
そしてその途中で、『燃え上がる』!!
ゴオオォォォォと音を立てて、球はそのまま、目標に向う。
「え!?燃えた!?」
と、ヒカルがその光景を見て、驚くように言った。
そして、その燃え上がった球は、今回は、たまたま、真っ直ぐ進んでくれたみたいで、目標のサンドバッグに当たった!
当たったのはほんとにたまたまだと思うけど。
バアァァァァンと木のサンドバッグに当たった球から大きな音が響く。そしてその炎が伝わり、木のサンドバッグは燃え上がった!
「す、凄い!!」
と、ヒカルは絶句している。
見たことのないスキルだったみたいだ。
「投げたものが、炎を纏うスキル!そんなものが作れるなんて・・・」
と、ヒカルは両手で口を抑えながら、言う。
「そう、『スキル合成 - シンセサイズ』これが僕が持っているスキルなんだ!」
「すごい!すごいわ!!タカシくん!」
と、ヒカルは感動してくれた。
「そして、この『速炎投擲 - ファイヤースロー』はヒカルにあげるよ!」
「え?」
と、ヒカルは驚く。
「くれるの??」と僕に聞く。
「うん、僕が投げても敵に当てるのは難しいからね!得意な人に持っていて欲しい!」
と僕は、にっこり笑って言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます