第十三話『ゴーレム戦決着』

「そう、私が投げるのは、ナイフだけじゃないんだよ!」

と、ヒカルは笑った。


いつもニコニコしているが、怒らせてはいけないのだな・・・とよく分かった。

そして、ゴーレムは爆発の煙に包まれた。


「倒した・・・のか・・・?」

と、僕は爆撃に包まれた、ゴーレムを凝視する。


だがまだ煙で見えない。

その煙を見ながら、まさか、このファンタジー的世界で爆撃を目にすると思わなかったな、と思った。

魔法がなくてスキル重視の世界だとそうなるのだろうか。


不思議な武器の使い方をする、文化ができているのかもしれない。

なかなかおもしろい。


と思っていると、爆撃の煙が薄まってきた。

「倒した・・・か・・・?」

と、ゴーレムを更に凝視する。


「タカシ!!危ない!!」

ニコが叫ぶ。


煙の中巨体が動くのわ僅かに確認出来た。

そう、ゴーレムはまだ生きていた。

ゴーレムは傷だらけになりながら、膝をつき、起き上がった。


その、ボロボロの体で、一番近くにいる、僕を見つけたのだ。


「これは・・・ピンチ・・・?」

スキルを持っているといっても、ただの帰宅部だ。


弱っているとはいえ、巨体。

攻撃をくらえば普通にヤバイ。

彼女たちのようには戦えない。


ゴーレムの攻撃を受けたら、やられてしまう。

そんなことを思っていると、ゴーレムは最後のうなりを上げた。


「グオオォォォォォ」

ヒビの入っている、右腕で僕に攻撃をしてくる。


僕も必死に右に逃げる。


「グゴオォォォォォォ」

ゴーレムの右パンチが地面に突き刺さる。

そう、ギリギリのところで、ゴーレムのパンチを避けたのだ。


「や・・・やった・・・!避けた!」

と、弱っているゴーレムの一撃をなんとか避けることができ、やればできるもんなんだな・・・と思ってホッとしていると、ニコが叫ぶ。


「タカシ!そこで安心しない!!とどめ!とどめ!ぼっとしてるとやられるわよ!!」

と言うニコの言葉で僕も正気を取り戻した。


そうだった。

次の攻撃を避けられるとは、全く思わない。

ここでやらないとやられる。


スキルを発動する。


『二重炎拳 - フレイムパンチ』


ごおおおぉぉぉぉぉぉっ、と右手が炎に包まれる。


「あれは・・・?」

「なに?あの炎!」

と、リオンとヒカルが驚く。


「ただの『炎拳 - ファイヤーパンチ』を2つ合成しただけなんだけどね」

と言いながら、自分の右手を確認する。


「ゴーレムくんには悪いけど、攻撃させてもらうよ!」

と言いながら、炎に包まれる右手を振りかぶった。

ゴーレムが自分で傷つけた。右の肩のヒビが入ったところに、確実に『二重炎拳 - フレイムパンチ』を叩き込んだ。


「グオオオォォォォ」

ゴーレムは、うめきつつ後ろに倒れた。


「た、倒した・・・!!」

「やるじゃないタカシ!」

とにっこりと、笑うニコ。


「す・・・すごい・・・」

「すごいじゃない!!」

とリオンとヒカルの二人は驚いていた。


「たまたまですよ!」

と僕は笑った。

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