鴛鴦の妻愛のことばを所望せり

【読み】

 をしのつまあいのことばをしよまうせり


【季語】

 鴛鴦(冬)


【語釈】

 鴛鴦――おしどり。


【大意】

 おしどりの妻がその夫に愛のことばを望んでいることである。


【附記】

 なにがしの夫妻の絵に付す画賛のための句のようである。女性は伴侶から愛している旨のことばを聞きたがるものと聞く。ここで、愛は貪欲に奪うなどといえば見当違いか。


【例句】

 麦畑にをしなく音や朧月おぼろづき 曽良そら

 鴛の羽の影や氷の薄みどり 野紅やこう

 帰来て夜をねぬ音や池の鴛 太祇たいぎ

 をしどりに美を尽くしてや冬木立 蕪村

 鴛や池におとなき樫の雨 同

 鴛鴦のちぎりやくつの右ひだり 蓼太りょうた

 しのびねに鳴夜もあらん離れ鴛 暁台きょうたい

 おもひ羽に月さす鴛のうきかな 青蘿せいら

 古池のをしに雪降る夕かな 正岡子規

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