虻ひとつ死したり暗き部屋のうち

【読み】

 あぶひとつししたりくらきへやのうち


【季語】

 虻(春)


【大意】

 暗い部屋のなかに虻の死骸がひとつ転がっていることである。


【附記】

 先日わが身に降りかかったことを脚色した。そのためか、春というよりは夏の雰囲気があるように思う。


【例句】

 花に遊ぶ虻な喰ひそ友雀 芭蕉

 花に入て虻の尻鳴つつじかな 一笑いっしょう

 海棠かいだうや虻のまぶたの重き時 酒堂しゃどう

 永き日や太鼓のうらの虻の音 浪化ろうか

 よしの出て虻のはなれぬたもと哉 宋屋そうおく

 虻の影障子にとまる小春かな 也有やゆう

 静さや花の昼間に虻の声 麦水ばくすい

 いかめしき声や日すがら花の虻 青蘿せいら

 虻飛んで一大円をゑがきけり 村上鬼城

 虻飛んで栗の花散る小道哉 寺田寅彦

 花虻の蜜つけて飛ぶれ間かな 横光利一

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