三度鳴いてからす飛び去るさくらかな

【読み】

 みたびないてからすとびさるさくらかな


【季語】

 さくら(春)


【大意】

 三度鳴いて、からすがさくらの木から飛び去るのであった。


【附記】

 比較的有名な芭蕉(1644-1694)の「枯朶かれえだからすのとまりけりあきくれ」のむこうを張ったような句。当初は「烏のとまりたるや」の句形だったこの句、蕉風俳諧への転換を示す作品のひとつとして重要視されているらしい(芭蕉やその門人の句風がはじめから蕉風だったわけではない)。


【例句】

 山は朝日薄花桜紅鷺ときの羽 素堂そどう

 うかれける人や初瀬の山桜 芭蕉

 木のもとに汁もなますも櫻かな 同

 山寺の冷飯寒きさくらかな 蕪村

 磯山やさくらの陰のみさごずし 暁台きょうたい

 曙やさくらを出づる山烏 蝶夢ちょうむ

 谷底に塩売る声や初ざくら 蒼虬そうきゅう


 三度啼て聞えずなりぬ鹿の声 蕪村

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