花ちるや名もなき蝶の片羽舞ふ
【季語】
花ちる(春)
【語釈】
片羽――対になった羽のかたほう。
【大意】
名もない蝶の羽のかたほうが舞い落ちるように(桜の)花が散ってゆくのであった。
【補説】
スタジオジブリの高畑勲監督のアニメ映画「かぐや姫の物語」を見ているときに作った。
【参考句】
散る花を南無阿弥陀仏とゆふべ哉 守武
やまざくらちるや小川の水車
ちるはなや鳥も驚く琴の塵 芭蕉
花散るや
苗代の水に散り浮く桜かな 許六
水鳥の胸に分けゆく桜かな
鶴の巣や日は入りはてて散るさくら
花散りて木の間の寺となりにけり
散りがての花よりもろき
打払ふ鎧の袖や花吹雪
世を忍ぶ男姿や花吹雪 夏目漱石
流れ込む
山は朝日薄花桜
淋しさや花のあたりの
花にあそぶ虻なくらひそ友雀 同
肌のよき石に眠らん花の山
樹の奥に滝の音して花や咲く
死んだとも留守とも知れず庵の花
雲を呑みて花を吐くなるよしの山 蕪村
花に暮れて我家遠き野道かな 同
月光西にわたれば花影東に歩むかな 同
浪の間はさくらうぐひや岸の花
百花咲いてかなしび起るゆうべ哉
花の木に鶏寝るや
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