へうへうと世を渡りけり北の風
へうへうと
〔語釈〕
「へうへう」は、「飆々」(風の激しく吹くさま)と「飄々」(性格・態度が世俗を超越していて、とらえどころのないさま)をかける。
「世を渡る」は、風が世の中を吹き渡ることと世渡りすることをかける。
「北の風」は(冬)。
〔大意〕
ひょうひょうとして世渡りをするとでもいうように、ひょうひょうと北の風が冬に入った世の中を吹き渡るのであった。
〔解説〕
軽く言い捨てたような詠みぶりだが、冬の寒さの身にしみて世渡りのままならない我が身に引き換え、涼しげな顔をして世を渡ってゆくらしい北風をうらやむ気持ちを込めた。
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