第71話お母さん! 魔法少女達を救います!
◆ ◆ ◆
意識だけの存在で肉体としての実体を持たないリズの力によって俺は魔法少女達の過去を垣間見た。
仲が良さそうで、天真爛漫で何の不満もストレスもないように見えた二人は誰よりも辛い出来事を経験していたなんて想像したこともなかった。
『あたしはここで死んで、それから先の事は良く知らない。記憶が途切れ途切れでね。気付いたらミーレは元気になってて、ミーレやレミーは何百年も生きてて、私が目の前で死んだ事でレミーは婆さんみたいになっちゃうし、何より二人は人を避けるようになった。自分達の魔法が人を傷つけるものだと知ったんだろうね』
「でも、別に自らの意思って訳じゃないだろ。あの兵士に騙されただけじゃねえか!」
『そうだね。でも、二人はそうは思わなかった。レミーに限っては兵士に言われた最後の一言が相当な心の傷になったんだと思うよ』
「... ...」
俺はまだ二人の事を良く知らない。
一緒にマンションを作ったり、水洗トイレを作ったりしたくらいでリズと二人のような関係性には到底及ばない。
リズは数百年もの間、苦しむ二人を見守り、二人は鎖のように纏わりつく残像と自責の念を小さな身体に閉じ込めながら、暗い森の中でひっそりと暮らしてきた。
俺はそんな二人を人を平気で殺めるような魔女に洗脳したハンヌというキザな男の顔面に一発かましてやりたいとそう思い、自らの拳を強く握る。
『あんたもあいつがムカついているみたいだね~』
「ああ。昔、付き合ってた彼女を寝取りやがったモンゴル人にあいつは似てるしな。何となく」
俺の言い回しが面白かったのか、それとも何の力もない人間が牛に立ち向かう蟷螂のように鎌を向け、威嚇しているのが滑稽だったのか定かではないがリズは初めて笑う。
『ははは! そりゃ、お前さんがあっちの方で彼女を満足させれなかっただけだよ!』
「何!? お前、俺はこう見えて床上手なんだぞ! 抱いてやるから早く姿みせい!」
もちろん冗談。
冗談でこのような発言をした。
さっきみたいに若くてボインなリズであれば大歓迎だが何かの手違いでBBAが出て来られたら俺のリーサルウェポンも使い物にならなくなる恐れもある。
『なるほど。じゃあ、お言葉に甘えて... ...。合体しようか少年』
「... ...」
思いのほかご老体が乗り気だったので身震いした。
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