第49話お母さん! 何かシルフがエロい! 

____「ホワイトの家」____


「うう。手首いてえ... ...」


 俺はこけた時に右手首を負傷。

 体が固いので、転んだりすると捻挫や骨折になる確率が高い。

 恐らく、今回も捻挫だろう。


 自業自得といえばそうだが、人のせいにしないとやってられない。


 玄関ドアの前にホワイトの父親と母親が倒れていた。

 俺は、手首が痛かったが一応、声掛け。


「ホワイトの父ちゃん。母ちゃん。そんな所で寝てたら風邪ひくぞ」


 ホワイトの父親は苦しそうに答え。


「うう~。もう、だめや」


 なぜか関西弁になっていた。


「とりあえず、ベッド行って寝た方がいいよ。あと、湿布ない?  捻挫したんだけど」


「立てそうにない。それに気持ち悪い... ...。すまんが、肩を貸してくれ」


「いや、肩貸したら腕もげるわ。それよりも、湿布くれ湿布」


 ホワイトの母親は「湿布なんてない! うんこでも塗ってろ!」と突然大きな声を出したかと思うと笑い出した。

 情緒不安定もいい所だ。

 優しくて、少し大人の色気があって良い人だと思っていたのに... ...。


 さっきのホワイトの悲鳴と関係があるのだろうか?

 と推理脳を働かせ、ホワイトの母親が態度を豹変させた理由を考えながらホワイトの兄貴の部屋に向かう。


 階段を上って行くと、ホワイトの兄貴の部屋の扉が粉々に破壊されており、小さな瓦礫となって廊下に転がっている。

 

 小石を避けながら、恐る恐る、部屋を覗くとホワイトの兄貴とホワイトが何やら正座している光景が見えた。

 OH... ...JAPANESE SEIZA。


 「この異世界でも正座ってあるんだな」と少し故郷が懐かしく思えた。

 しかし、そのノスタルジックな気持ちは次の瞬間に恐怖へと変わる。


「あんたらあああ! さあああ!!!! 分かってんのおおお!?」


 シルフは、ベッドの上に仁王立ちし、へべれけになりながら正座している2人に対して、説教をしている。

 厳密に言うと、説教ではなく行き場のない文句を二人にぶつけているだけ。

 

 二人も訳も分からず「すみませんでした... ...」と言葉を揃える。


 シルフは何やら自身の胸の辺りについた白濁した液体を右手の四本の指でネットリとすくい、口に入れる。

 まるで、プー〇んが蜜壺から蜂蜜を取り出すようにゆっくりと、そして、口元にネバネバした液体をべっとりと付け、それを器用に舌と指を使って口に入れるように。


「ごくり... ...」


 俺はその光景をみて、理想的な生唾を飲んでしまう。

 下腹部に熱源もとい、ストレッチパワーが溜まっていくのが分かり、シルフに頭を垂れるように前傾姿勢になる。


「ちょっとおおお!!! 何、頭さげてんおおお!!! 私が頭下げさせてるみたいじゃないのおお!!!」


 やばい! 見つかったか!?

 誰でも分かるように、今の状態に飛び込んでいくにはリスクが高い。

 しかも、今のまま、歩き出したら、ストレッチパワーが摩擦で爆発してしまう... ...。

 うんこが漏れるよりも恥ずかしく、社会的制裁もデカイ。


 何より、それが、癖になり、ハマってしまったらどうしよう... ...。


 脳内でもしかしたら、この後発展していたはずのラブコメ要素が崩壊する音が聞こえた。


「はい... ...。すいません... ...」


 これは俺の心の声ではない。

 ホワイトの兄貴の声だ。


 正座させられているホワイトの兄貴を見ると、ホワイトの兄貴もまた、下腹部にストレッチパワーが溜まってきたらしく、前傾姿勢になっていた。

  

その光景は日本の謝罪界に長年伝わる謝罪の王様”土下座”そのものであった。


「OH... ...。JYAPANESE DOGEZA」


 ホワイトの表情を見る事は角度的に鬼むずだが、雰囲気的に兄を軽蔑しているのが分かった。


「顔!!! あげなさいよおおお!!!」


「それは、出来ない」


 ホワイトの兄貴は武士のように毅然とした態度で断りをいれる。

 それは、当然、自身のストレッチパワーが溜まっている所など見せられない。

 妹が横にいる状況ではなおさらだ。


「はああああ!? 私に逆らうっていうのおおお!?」


「逆らってはいない。出来ない事を出来ないと言っているまでだ」


 下腹部にストレッチパワーが溜まっている状況で何ともカッコイイセリフを吐く。

 俺はそんなホワイトの兄貴の事が少し好きになった。

 この騒動が終わったら一緒に飲みに行きたい。


「ふざけんなよおおお!!!」


 シルフは自分の言う事に従わないホワイトの兄貴にブチ切れ、ホワイトの兄貴の頭や腕を上下に揺らす。

 ホワイトの兄貴は言わずもがな、巨人だ。

 シルフの揺らしには微動だにしない。


 シルフは息を切らし、立ちくらみがしたのか、ベッドの上に倒れ込んでしまった。


「し・シルフ... ...。大丈夫??」


 ホワイトが心配そうに声をかける。


 疲れたのか、そのままシルフは眠ってしまった。

 


 




 

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