沙塵

作者 奥手章擧

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★★★ Excellent!!!

日本版『罪と罰』と言うべきでしょうか。
ラスコーリニコフが善人に思えるほど身勝手なギャンブル狂いの男が、破滅という至極当然な着地点に至るまでのホラー短編です。
圧倒的語彙力によって紡がれた物語は、素晴らしいの一言。何が凄いって、こんなどうしようもない男に対して読み手が「共感を抱けるようにしてある」所です。

私はギャンブルなんてろくにしない朴念仁ですが、それでも男の理不尽きわまりない怒りとだらしのなさがどこからきているのか「理解できてしまう」のです。
この駄目さ加減は人によって程度は違えど、万人が有しているものなのでしょう。
情けない自分にカツを入れたい人に、おススメします!

★★★ Excellent!!!

とにかく文章の(いい意味での)固さに圧倒されました。これぞ純文学、といった感想です。
正直あまり本を読まない僕にはとてもオリジナリティ溢れる作品に読めるのですが、もしかしたら元ネタとかあるのでしょうか?
いずれにせよ、僕には書けない部類のお話でとても面白く読ませて頂きました!

★★ Very Good!!

芥川や中勘助、サキが好きだったので、すごく近代自然派の雰囲気を感じる文体が、もう冒頭から好きでした。
人間の哀れで罪深い業の深さを垣間見ちゃった後の、このいい意味での後味のわるさは、本当にそれを垣間見れるほど、表現できないと感じれないものだと思うので、すごいの一言です。

★★ Very Good!!

もう後がない主人公の男は何処にたどり着くだろうか。男は大丈夫なのか? いやいや、そんなものよりも怖いのはこの男だ。
一度目は男を通して読んだからこそ奈落の先が気になったのに対して、二度目は男の行動が凄く気になってしまった。他のインパクトに薄れた彼の感情に重きを置いた行動原理は中々狂人染みている。
ギャンブルにもこの梔子(くちなし)色の砂漠にも深く落ちる男の話、一度は読んでみてほしい。