In the Flames of the Purgatory 10

 

   §

 

 白星学園高等部の教師寮は校舎、学生寮とそれぞれ渡り廊下でつながっている――教師寮と学生寮の間も渡り廊下で行き来することが出来るあたり、きっと課外に生徒が教師のところに質問しに行くことが多いのだろう。あるいは、教師が生徒の生活に干渉することが多いのかもしれない。

 そんなことを考えながら、アルカードは鳥柴薫に続いて学生寮に入るための渡り廊下に入った。

 先ほどフィットを止めておいた駐車場は事務棟の来客用で、本来は家持ちの教師が使うところではないらしい――車を教師用の駐車場に移動させたのにわざわざ校舎に案内したのは、単に職員室の位置を説明したほうがあとが楽だと思ったからだろう。

 そのほうが近いからなのか、それとも単に学生寮の様子も見せておこうと思ったのか、薫は校舎から渡り廊下を通って学生寮に案内した。

「綺麗な建物ですね――校舎もそうでしたが」

 手入れの行き届いた真新しい建物をざっと観察して率直な感想を口にすると、薫は少しだけ笑ってみせた。

「二年前に建て替えたばかりです」

 一階は主に共用の施設を中心にそろえているらしい――ざっと見る限り、配電盤の中心設備に建物の個別のボイラー室、談話室、娯楽室、簡易的な自習設備といったものだ。

 少しだけ聴覚を引き上げると、娯楽室の中から男女の歓声が聞こえてきた――BGMを伴った銃声も聞こえてくるあたり、映画かゲームかのどちらかだろう。

 ルーベン・ラングダンの聞き慣れた声が聞こえてくるあたり、彼とは同好の士であるらしい――あのゲーム、たしかパソコン版のスペシャルエディションがもうすぐ発売されるはずだが(※)。

 間に合えばよかったのだがと胸中で溜め息をついたとき、娯楽室の扉が開いて私服姿の女の子がふたり顔を出した――黒髪をショートカットにした女の子と、栗色に近い髪をセミロングの女の子だ。染めている様には見えないので、おそらく地毛でその髪色なのだろう――白星学園のパンフレットのに掲載された生徒の写真には黒髪の生徒しか写っていなかったし、おそらくこういった学校だと染髪は禁止されているはずだ。

 こちらに気づいて、セミロングの髪の女の子が微笑んで会釈をする――その拍子に長い栗色の髪が揺れた。

「おかえりなさい、薫先生。そちらの方は?」

「月曜日からわたしの授業を手伝ってくださる補助講師の先生です――学生寮のほうも場所だけは知っておいていただこうと思ってお連れしたの」

「アルカード・ドラゴスです。よろしく、お嬢さんがた」

 軽く一礼したとき、談話室の中から「あ、降ってきた」「窓閉めて」という声が聞こえてきた――空港に着いたときから御世辞にも天気がいいとは言えなかったが、とうとう雨が降ってきたらしい。

「まずい、俺、部屋の窓開けっぱなしだ」

「しまった、僕も!」

 という様な声も聞こえてきて、にわかに談話室の中が慌ただしくなる。

「まずい、結構な大雨だぞこれ――ごめん、雪村さんちょっと通して!」

 こちらに気づく間も無く少女たちを押しのけて階段に向かって駆け出していく少年ふたりを見送って、薫が小さく息をつく。アルカードはひょいと部屋の中を覗き込んだ――某スタイリッシュアクションゲームのパッケージが放り出され、プレイステーション2がテーブルの上に放置されている。テレビ画面にはゲーム画面が映し出されており、ポーズがかかっていた――ゲーム自体は中古屋で買ってきたものを始めたばかりらしく、パッケージの脇に中古屋の包装フィルムが剥がされたまま放置されていた。

 ニューゲームで始めるなら、ガンスリンガースタイルがお勧めだぞ。ミリオンスタッブだけじゃなくてワイルドスタンプも出せるからな(※2)。

 胸中でだけそうつぶやいて、アルカードは視線を壁の掲示板に向けた。

『廊下は走っちゃいけません(意訳)』と書かれた張り紙を見遣りつつ、

「――邪魔したら申し訳無いですし、行きませんか」

 薫に声をかけると、彼女は苦笑してうなずいた。

「そうですね」

「じゃ、また今度ね」 少女たちに軽く手を振って、アルカードは薫について歩き始めた。

「ごめんなさい、先にお荷物を運んでおいたほうがよかったかもしれませんね」

「いいえ、特に問題はありません」 薫の言葉に、アルカードは短くそう答えた――実際になんの問題も無い。

 でも、と気遣わしげな表情を見せる薫を促して、アルカードは歩き始めた。靄霧態ミストウィズインの能力を持つアルカードにとっては、むしろ空気中の水蒸気含有量が多いほうが作業は楽だ。

 廊下の突き当たりに、赤茶色に塗装された鉄扉が見える――事務棟で見せられたあの配置地図の通りなら、このあの扉から渡り廊下を通じて教師寮に行けるはずだ。

 

   *

 

 雨は相変わらず、ばたばたと音を立てて幌を叩いている――分厚い幌に遮られてろくに明かりも無いというのに、金髪の青年の手つきは正確でまったく迷いが感じられなかった。

「ランプは?」

「いらん」

 よほど夜目が利くのだろう、ほとんど光源が無くてもまるで問題無く見えているらしく、彼はランプを用意するかという姪の申し出を断って傷口からにじみ出てきた血で汚れた包帯を取り去り、その下のぐっしょりと湿った綿紗を剥ぎ取った。

 縫合されているらしい傷口からにじみ出た血を拭い取り、雑嚢の中から取り出した酒瓶――ほかのものと干渉して瓶が損傷しない様、竹を編んで作った籠の様なものに入れられている――の蓋を開ける(※3)。

「消毒する。少し染みるぞ」 言葉は非常に綺麗なものの話し慣れてはいないのか、彼の言葉はぶっきらぼうでつっけんどんだ。ただこちらの表情や反応の変化を観察しながら作業をする様子からは、彼がきちんと相手を気にかけているのが窺える。

 蓋を開けるなり、途轍もなく酒精度の高そうな酒の匂いが漂ってきた。それを惜しげも無く綿紗に染み込ませ、それで傷口を丁寧に拭ってから、そこらで採ってきた草の葉を擂り潰したものを綿紗に塗りたくって傷口にあてがう。

「それ、なに?」 興味津々といった様子の姪の質問に、金髪の若者が作業の手を止めないまま返事をする。彼は綿紗を押さえつける様にして手早く包帯を巻きつけながら、

「鋸草の仲間だ。止血効果がある(※4)」

「ここを押さえろ」 という指示に手を伸ばして包帯の端を押さえると、彼は小ぶりの短剣で端末を切り裂き、そこから包帯を結わえて固定した。

「そっちの古いのはどうするの?」

「血が染みたからな。煮沸消毒すれば、使えなくもないが」 棄てる、という意味なのだろう――姪の質問にそう返事をしながら、彼は薄汚れた包帯と綿紗を適当にまとめてそれを袋に詰めた。口を縛ってから雑嚢に放り込み、残った道具を手早く片づける。

「どうするんだね」

「あとで焼却する。それが一番安全だ」 彼は御者の質問にそう返事をしてから、

「ズボンを穿いたらもうしばらく休め。リスボンに着いたら一応医者にかかれ」 彼がそう言って再びフードをかぶり直したとき、突然幌の外で馬がいななき声をあげた。

「なんだ?」

「犬だ」 彼はそう返事をすると、幌をくぐって再び雨の中に全身を晒した。彼が幌を払いのけた際にどこかに引っかかってうまく閉まらずに出来た隙間の向こうで、近くの森の中から姿を現した狼、というか野犬の群れがこちらに視線を据えてぐるぐるとうなり声をあげている。

「消えろ」 金髪の若者が一言そう声をかけてから、

「俺の言葉が通じないということは、狼は一匹もいない様だな」 違う状況なら物狂いの戯言にしか聞こえなかっただろうが――

 とでもいう様にそんなことを独り語ちてから、彼はぱっとなにかを宙に投げ上げた。

 親指の先くらいの大きさの、無数の黒い金属片。それを目にして、御者は息を呑んだ。

 ――なにをしたのかもわからないが、十人を超える山賊たちを瞬時に皆殺しにしたあの攻撃だ。

 バチュンバチュンという金属同士の衝突音を立てて、放物線を描いて落下し始めた金属片が火打石の発する様な火花とともに次々と弾き飛ばされた――のだろう、たぶん。手前から向こうに向かって空中でいくつも火花が弾け、野犬たちの眉間でぱっと赤いものが散る。次の瞬間には、姿を現した野犬たちはことごとく絶命していた。

 背中越しなのできちんと見たわけではないが――金属片を指弾で弾き飛ばして目標に命中させる、あれがあの山賊たち十数人を瞬時にことごとく絶命せしめた攻撃の正体だ。

 宙に投げ上げた複数の金属片を、自分の指弾で弾き飛ばして標的に命中させる――いったいどれほどの綿密な計算と投擲精度を以てすれば適当に投げ上げた金属片を指弾で弾き飛ばすなどという手段で、しかも複数の標的に正確に命中させることが出来るのか、御者には想像もつかなかったが。

 しかもあの攻撃には、一発一発が人間の頭蓋骨を貫通するほどの威力があるのだ――御者が目にした山賊のひとりは、頭蓋骨を貫通されて絶命していた。やろうと思えば、彼はその場で棒立ちになったままで一個部隊を壊滅させることさえ出来るだろう。

 動くものが無くなったところでゆっくりと腕を下ろし、

「行くぞ」

 金髪の青年はそう言って、捲れ上がった幌を元に戻した。姪も頭を引っ込めていたので、それで幌の中が再び暗闇に包まれる。

「殺したの?」

「人間を襲ってくるということは、人間が易く殺せる生き物だということを知ってるということだ――放置しておけば次の被害が出る。殺したほうがいい」 姪の質問に歩きながら返事をしているのか、金髪の男の声が馬車を廻り込んで前方に移動していく。

 その会話になんとはなしに耳を傾けながら、彼はズボンを手に取った。脚の負傷のせいで満足に立てないので座ったまま着替えをするのはやりにくかったし、血が染み込んで固まりごわごわになったズボンを穿くのも気持ち悪かったが、正直に言って寒かったのだ。

「おい」 かちんかちんという火打石を打ち合わせる音がしたあと、御者席側の幌の合わせ目からにゅっと手が突っ込まれてくる――ぎょっとして上体を仰け反らせたところで、御者は幌の中がにわかに明るくなったことに気づいた。

「これを中に入れておけ」

 装甲で鎧われた手が持っているのは、御者台に置いてあったランプだった。火が燈されたランプが煌々と光を放ち、同時にわずかながら熱も放っているのだ。

「真っ暗だと過ごしにくいだろう。堂々と暖が取れると言うほどでもないが、多少の暖も取れるだろうしな」

「あ、ああ。ありがとう」 幌越しの言葉に返事をしてランプを受け取り、御者はズボンをきちんと穿いてから再び横になった。

「ところで、あのチーズは全部納品するのか」

「一応落としたりして外箱が駄目になったときの、なんていうか、そう、予備もあるよ」 姪と金髪の若者の会話が、ばたばたという雨音に混じって幌の向こうから聞こえてくる。

「どんなものがある」

「いろいろ。うちの牧場のお客さんは船会社とかが多いから、船乗り向けの保存性の高いものが主体なんだけど。だからハードチーズがほとんどだね――三年くらい熟成させたものもあるよ。もっと保存性を高めるために、それを燻製にしたものも。あとはベーコンとかソーセージの燻製とかも」

「その予備や、外箱を傷めたものはどうするんだ」

「港に持ってって、船乗りの人に売るの。食糧不足に備えた非常食とかで、船員さんが自費で買ってくれるから」

「そうか」 金髪の若者はそう返事をしてから一度押し黙ったあと、

「リスボンに着いたら、乾燥度合いの高いチーズと燻製類をいくつか売ってくれ。これから船に乗るんでな、保存の利く食糧を補給したい」

「向こうに着いたらおじさんと相談――」

「否、かまわないよ」 姪と彼の会話に割って入り、御者は幌越しに声をかけた。

「代金はいらない。助けてもらったお礼だ――納品が済んだあとに残ったぶんは、牛乳でもバターでもチーズでも燻製類でも、なんでも好きなものを持って行ってくれ」

「ちゃんと金は払う。医者代も必要だろう」 ぶっきらぼうな口調でそう返事をしてから、彼は馬車を動かす準備にかかった様だった。ややあって金属の装甲がこすれる摩擦音とともに、再び馬車が動き始めた。

 

   *

 

 ガーゴイルたちが咆哮をあげ、翼をはばたかせながら襲いかかってくる――それを見上げた瞬間にガーゴイルが背負った月をまともに目に入れて、エルウッドは一瞬目がくらんだことに舌打ちした。

 だが次の瞬間にはガーゴイルたちは空中で動きを止めて失速し、そのまま空濠へと転げ落ちている――拍子抜けした気分で構えを解いたとき、『彼』がくるりと踵を返して城門に向って歩き出した。

「……おい?」

「別に真面目に相手をする必要も無いだろう」

 跳ね橋の正面で足を止め、『彼』はそんなことを言ってきた。

 そして跳ね上げられた跳ね橋へと視線を据え――次の瞬間鎖が切れたのか、轟音とともに跳ね橋が落下してきた。

 見遣ると、キャプスタンにつながっているであろう跳ね橋の鎖が外力によって破壊されている。おそらくは焼き入れの施されたステンレス製のチェーンなのだろうが、すさまじい力で瞬時に捩じ切られていた。

 なんて技量だ――胸中で舌を巻きながら、エルウッドは父に続いて橋を渡った。

 先ほどの現象はガーゴイルを駆動するための魔術式に組み入って、術式を改竄したのだ。改竄といっても例えばいきなり同士討ちを始めるとか、そういった複雑なものではない。

 ただ動きを止めるだけなら、制御プログラムの術式にちょっと手を加えるだけでいいのだ。文章にカンマひとつ加えるだけで元の文とは異なる意味になる様に、魔術による制御プログラムとして構築された術式は適当に改竄するだけで正常に機能しなくなる。

 だがそれをガーゴイルのすべての機能を制御する複雑な術式、それも止まっているわけではないガーゴイルすべてを瞬時に掌握し、組み込まれた『式』に干渉して術式を改竄するというのは、尋常な技量で出来ることではない。まして相手は、超一流と言っていい魔術師の集団である『アルマゲスト』に所属する魔術師が作ったガーゴイルなのだ。

 だが彼の持つ数々の伝説は、彼が本物の怪物であることを裏づけている――およそ人間が単独で使う魔術において、『彼』の領域に届くほどの魔術師は歴史上ただのひとりしか存在しない。否、一時的とはいえ世界に新たな物理法則を作り出す『魔法』の領域にすら、この男であればいずれ届くだろう。

 さすがはアルカード・ドラゴスをして『敵には回せない』と言わしめた伝説の大魔術師、魔道氏族ファイヤースパウンの長セイルディア・グリーンウッドというべきか――

 跳ね橋を渡りきって閉ざされたままの城門の前に立ったとき、ずしんという足音とともに閉ざされたままになっていた城門が内側に向かって開き始めた。

「あらー……」

 ブラックモアがなにやら楽しそうに声をあげる――彼は地響きとともに城門をくぐって姿を見せた巨大な山羊の頭と下半身、蝙蝠の翼を持つ石の悪魔像を見上げて手を打ち鳴らし、

「かっこいいな。一台ほしい」

「そのセンスには同意しかねる」 律義に返事を返したのはレイルだったが。

 ごほおお、と咆哮をあげる巨大なガーゴイルを見遣って、『彼』が溜め息をつく。

「――消えろ」

 その言葉と同時に――対峙するガーゴイルに異変が生じた。

 おそらくはなにかの魔術なのだろうが、ガーゴイルが顔を横に向け――否、おそらくは外部から力を加えられているのだろう、顔が背中を向くまで捩じられていく。

 首だけでなく腰、それに手首や肘、肩、膝、足首、脚の付け根といった関節が肩は右回転、肘は左回転、手首は右回転といった様に、ことごとくでたらめに捩じり上げられていく。

 魔力強化エンチャントが無効化されているのか、あるいはあのガーゴイル程度の魔力強化エンチャントでは入力される力に対応出来ないのか、滅茶苦茶に捩じられた石造りの筺体にメキメキと音を立てて亀裂が走った。

 全身の関節を滅茶苦茶に捩じり上げられて、完全に砕けた全身の関節から腕や足がはずれて地面に落ちる。

 十秒が経過するころには、ガーゴイルは関節という関節から全身を解体された石くれの山となって地面の上に転がっていた。

「ああ勿体無い」 心底残念そうなブラックモアに嘆息して、レイル・エルウッドがそのかたわらを通り過ぎる。

「行くぞ」


※……

 ソースネクストから発売されたパソコン用ゲームソフト、Devil May Cry 3 Special Editionのことです。


※2……

 Devil May Cry 3はゲームの新規開始時に、ソードマスター、ガンスリンガー、トリックスター、ロイヤルガードという四つの中から『スタイル』と呼ばれる項目を設定します。標準はトリックスターです。

 ソードマスターなら剣を用いた攻撃、ガンスリンガーなら銃を用いた攻撃がそれぞれ追加され、トリックスターは移動手段、ロイヤルガードは防御を主体にしたアクションが追加されます。

 ゲーム中ではクレイジーコンボと呼ばれる必殺技がいくつか設定されていて、ソードマスターとガンスリンガーではスタイル個別のクレイジーコンボが用意されています。

 ソードマスターの場合はダンスマカブル、ガンスリンガーはワイルドスタンプというのですが、スタイルの習熟度を上げないと使えないダンスマカブルと違ってワイルドスタンプは最初から使えるので序盤が有利になるのです。アクションの数が少ない序盤の、貴重な稼ぎ技ですね。


※3……

 創傷縫合の歴史は古く、もっとも古い縫合の記録は紀元前三十世紀に遡ります。

 現存する世界最古の縫合糸は紀元前十一世紀のミイラに使われていたもので、インドのスシュルタ、ギリシャのヒポクラテス、古代ローマのケルスス、ローマの医師ガレノス等によって様々な縫合手技や器具についての記述が著されています。

 十世紀には羊の小腸を用いたカットグット縫合糸の製法が確立され、医療現場で使用される様になりました。なお高分子素材等の完全人工縫合糸の普及と牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)感染の懸念から、現在ではカットグット縫合糸は日本とヨーロッパでは使用されていません。


※4……

 西洋鋸草とその近縁種の葉は強壮効果、食欲増進、発汗、解熱、殺菌、止血作用があり、内服および外用薬として用いられます。擂り潰したものを傷口に塗布して湿布に使うことで殺菌および止血効果が得られます。ある程度加温することで効果の増進が期待出来ます。

 化膿を防ぐ目的なら、量が十分であればグラニュー糖を塗りたくるのも効果的です。昔ながらの製法で作られたジャムやキャンディが腐敗しない様に、糖度が六十パーセントを超える環境では現在知られているいかなる細菌も生存出来ません。


参考文献……

 米陸軍サバイバル全書(並木書房)

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