第7話

 後日。

 玉藻前の性能は、運営側も明らかにバランスブレイカーだと早々に気が付いていたらしい。玉藻前が神殿に向かっている間にはもう修正が入っていて、明智光秀よりも遥かに短い天下はここに終了するのだった。

 そしてお詫びとして配られた10連ガチャチケットにて、R子こと愛姫は奇跡的に引き戻された。絶対者がいなくなった今、何かに使えるかも知れないと再び取っておかれることになり、R子は家に帰ってきた。

 全てが元通りになり、平穏が再び訪れたのだ。


「で、何でR子水着になってんだよ? 寒くないのそれ?」


 N子が指摘したように、R子は水着姿を3人と一個の前に晒していた。布面積の小さな緑色のビキニで、形の良い胸の下部分まではみ出ている。しかしR子は恥ずかしがる素振りすら見せず、N子を見下すような視線を向ける。


「羨ましいでしょー? 私、今回の水着の対象だったんだあ。N子には一生来ない奴だよ」

「んだとコラ――! この経産婦! 派手な水着はとても無理よ、若い子には負けるわって言ってたのはウソだったのかよ!? お前がおばさんになっても泳ぎに連れてくのかよ、お前の夫は!」

「N子いくつなの? あと経産婦言うのやめてくれないかな。それ元ネタの方だし」

「何気に元ネタが女性だと確定してるの愛姫だけだからなー」

「元ネタがどうだろうと、俺は構わないぞ! 可愛くてエロければ、それでよし!」

「アタシへの当てつけか? 兄ちゃんよ? ン?」

「当てつけるならおっぱいを当てつけてくれ!」

「やんねーよ、また割れるだろ! 昨日だけで3回も割れてんだからな兄ちゃん! もっと強度上げろよ!」


 いつも通りに騒がしい家に、ドアの開閉音が響く。


「ただいまー!」

「お帰り、SSRお姉ちゃん」

「うわ、痴女! 経産婦なのに痴女が家の中に!」

「何でSSRお姉ちゃんまで私を経産婦扱いなの? 経産婦馬鹿にしてんの?」

「キャーー、N子! 見ない方がいいわ! 殿方の前でこんなに肌を晒す痴女が家の中に!」

「いや、ごめん、究極のおまいうでさすがのアタシも乗っかれない」

「私もノーコメで」

「酷いわ! もう、せっかくR子復活記念で、SSR強化素材加工のプリン買ってきたのに」

「非処女確定女め! 最初から童貞寄せ付けないウーマン! 生まれながらの人妻属性!」

「痴女め! 風紀を乱すな!」

「SRお姉ちゃんまで掌返し?」

「痴女なら痴女らしく、俺を抱いてくれよ! 俺をその胸を中心に押し当ててくれーー!」

「うん、はい、お兄ちゃん♪」


 むぎゅう。


「フォオオオオオオオ!」


 めきめき。


「アアアアアアアアア!」


 パリーーーーン!


「悔いなーーーーーし!」

「兄ちゃーーーーーん!」

「割れたーーーーーー!」

「でもなんか嬉しそうに輝いてるわーーーー!」

「一人分減ったからその分もらっていい?」

「ダメだよ!? 何言ってんのR子! 怖っ! 鬼畜!」


 騒がしくてバカバカしい、ボックス内の日常は続く。

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