死にながら生きるよな、

作者 花尾アキ

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★★★ Excellent!!!

戦後の日本の、どこか暗く退廃的な雰囲気を漂わせる作品。

医学生と、盲目の退役軍人。この組み合わせだけで既にいろいろ掻き立てられるという人も多いはず。
戦争で多くのものを失い、更には死病に冒された東郷は、安楽死を望みます。
いや、正確に言えば、「薫に殺されること」を望みます。
放っておいても間もなく潰える命を、敢えて人の手で刈り取られることを願う。その裏側に隠された、東郷の本当の想いとは。
いやぁ、業が深い。

『人狼のスープ』もまた、隠された人間の真意に迫る物語です。
平静でない状態で心が欲するものこそ、従うべきものなのでしょう。

仄かに匂い立つような、文学的なBLがお好きな方におすすめです。

★★★ Excellent!!!

第一次世界大戦終結後の帝都。
盲いた男と、医学生の物語。

タグによると、これもボーイズラブなのだという。
文学的と言ってしまうには、何かが違う。

読後に訪れる、この何とも言えぬ感情はなんだろう。

この男の生き様に、そして死に様に、何かを感じるだろうことは間違いない。

★★★ Excellent!!!

耽美に過ぎず、衒学に酔わず。
ただしっかりとした筆致で淡々と描かれる戦後の風景は、現代に生きる我々の胸に、まるで乱歩の怪奇譚でも読んでいるかのように染み渡る。

主人公は医学を志す書生である。
いまだ学ならず、ジッと手を見れど麦のわくような奇跡も起きずに日々の暮らしにも参っているところ、とある老人の終の棲み家に招かれる。
そこで彼が懇願されたものは――。

ありきたりなweb小説に読み飽きた方には必読の一作である。
彼の最後をしかと見届けよ。

★★★ Excellent!!!

医学生の日向薫は、その給金の良さから退役軍人・東郷のもとに通いの医師として応募し、「病魔に冒されて死ぬ前に殺してほしい」という願いを知る。
いつしか東郷に惹かれた薫は、死の淵に立った彼を痛みから救うため、また彼を自由にするためにある行動をするのだった。


冒頭から惚れて、一気に3.4回読んだ作品です。
こんなに心に突き刺さったのは久しぶり。
「生きた人間」をしっかりと書ける方なのだな、と思いました。

「暗闇の中で死の足音を聞いているしかなかった」
こことね、
「──あんたに殺されるんなら、本望さ。」
こことね、
薫の生い立ちと背負ってきたもの・覚悟

これが全部合わさって、感情が揺さぶられる作品。

……要するに、この話、全ての要素が魂レベルで好きです。

近い作品だと「高瀬舟」なのかな。
ああいう、静謐で、どこかに希望の匂いのする生と死が描かれているように感じました。