10話 法律のかべ

「なんで! こんなにやることがおおいんだよ!」

3人がこちらを向く。そうだ、今日はみんなが集まってるんだった。

「大丈夫、ですか?」

気を使ってくれたのはミーシャだけか、はぁ。

最近、このグループ関係のメールが多すぎる。しかも、仕事の依頼は一つたりともない! 全部「ミーシャがほしい」だの「美優をうちのプロダクションに」だの、引き抜きの勧誘だ。

「会社にするなら、仕事がないとなぁ」

実際、仕事が勝手に降ってくるほどの知名度は、まだない。それに、法律関係がさっぱりだ。経済学部って、もしかして起業できない学部なの?


ふと、救世主の声が耳にはいる。

「わたぁしの、おかあさんは、日本の法律、詳しいです」

「え? ミーシャ、今なんて?」

少しなまったアクセントの日本語でいった言葉を、反復する。

「法律、詳しいの?」

「はい! 弁護士です」

「ミーシャのお母さんって、日本のひと?」

期待を込めて聞く。

「はい! お母さんが、日本で、お父さんが、ルゥシァ人です!」

なるほど、これは突破口になるかもしれないぞ・・・!

「こんど、つれてきてもらえる?」

「はぁい! わかりました!」

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