第4羽 俺は戦う。メープルの為に

「うぅ」


 あっこれ、俺の鳴き声じゃないぞ。俺は今、雅思(中身メープル)の試練に付きあってやってるんだ。


「……なんて聞いてない。……なんて聞いていない」

「プゥープゥー?」


 おい! 大丈夫か!? しっかりしろ!


「メェ、プル……。俺は、もう死ぬ。悪いな……」

「プゥグワァ!!」

 

 こんな事で死ぬアホがいるか! たわけ!


「あぁ、こんな時まで可愛いな……、メープルは」

「ブゥッ!」


 起きろ、雅思(中身メープル)! まだお前には、大事な使命あるだろう!?


「すぅー……すぅー……すぅー……」

「プゥ……」


 寝やがった。

 宿題、目の前にして寝やがった。


「……」


 さて、今の状況を一度整理しよう。まず今は、兄貴特製テスト週間だ。兄貴特製テスト週間とは、名の通り兄貴が考案したもので、成人しても、学力低下を避ける目的で行われているものだ。


 五十点以下で追試。五十点以上取らないと、死ぬまで永遠にテストされる。

 一発で百点取ったら兄貴の奢りで、美味しい飲食店に、値段構わず連れて行ってくれる。


 生前、俺は “天国と地獄の間”と呼んでいた。


【31×??=62÷2】


 今は、この問題に手間どっている。俺は答えを知ってるが、雅思(中身メープル)は分からないようだ。

 その時だった。

 俺の背後からドアが開く音がして、兄貴が登場した。


「あらぁ! 寝る程、余裕ありなのね。期待しておくわよ。雅思♡」

「うみゅぅ〜」


 ねっ、寝息で返事した。

 中身がうさぎだから、そういうことに長けてるのか?


「ブゥブゥッグ!!」


 あっ、アヒルっぽい声が出ちまった。

 くっ! 兄貴に媚び売って、雅思(中身メープル)のテストを先延ばしにしてもらうしかない。


「キュウ……ゥ」

「あら、なぁに? メープル」


 兄貴、恥を忍んで頼む。

 顔をキリッと上げて、つぶらな瞳で、見つめる。


 俺をここから出してくれ! 

 俺は、よいしょっと、浮かせた前足を、ゲージの高い柵に掛けた。

 いわゆる、出してくれポーズだ。


「分かってるわよぉ! 出して欲しいものよね。こんな狭い檻に閉じ込められて。可哀想」

「プッ」


 サンキュ! 早速なんだけど。


「プゥ」


 テスト、先延ばしにしてくれ!  雅思(中身メープル)このままじゃ、一生追試漬けになる!


「雅思は頭が良いから、もうテストなんてしない方が良いかしら?」

「プゥプ!」


 そうだ! 

 全くもってその通りだ! 一発合格は今まで五回も出来てるんだぞ! 

 十分、俺は頭が良いんだ! なぁ、頼む!


「ねぇ、?」

「……?」

「貴方、雅思よね?」

「プグワァッ!?」


 兄貴、どうして……!? まさか、神様?


「なぁんてね? 雅思はそう言う子だもの。止まらない、やめられない。雅思の保護者という立場!」

「だよね~……草美味しいよね……」


 いたずらなんかい!!

 雅思(中身メープル)も寝ぼけながら同意するな!


「あら、雅思。草が美味しいって!」


 兄貴が、バカで助かった。

 抱腹絶倒して、床に転がってらっしゃる。


「うみゅぅ〜……草美味しい……」


 おいおい。雅思(中身メープル)……。

 草が美味しいとか人間は言わねぇから。バレるというか、兄貴の抱腹絶倒に拍車かけるだけだから。


「もう〜無理!! 草が美味しいって! あ~はっはっはっ! まさし、くさってくさって、あはははっ!!」


 ほらね。抱腹絶倒して苦しそう。

 目には笑いすぎて、涙出てるし。兄貴、どんだけツボに嵌まったんだよ。キャラ崩壊してんぞ。


「プゥ」

「メェプルがあはははっ!!」


 ダメだ、こりゃ。

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俺はうさぎに転生したので革命を始動させる 水無月 @kuro0906

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