鼻1

 池の尾の寺に住む僧・禅智ぜんち内供ないぐは、腸詰め肉のように長い鼻を持っているため、他人から笑われていたが、気にしないふりをしていた。

 ある年の冬、赤い衣に白い髭の老翁が寺を訪ねてきて、内供に言う。

「暗い夜道は、御前の鼻が役に立つ」

「拙僧の鼻は光らぬし、そりも引きませぬ」

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