811~820 日本っぽい6

あるじなしとて

 とある役人が、遠隔地へ左遷されることになった。出立前、庭のお気に入りの梅の木に

「主がいなくなっても、春に咲くのを忘れるなよ」

 と語りかける。

 後日、留守家族から「今年は例年以上に見事に咲きました」と、梅の前で撮影した記念写真が送られてきて、複雑な気分になった。

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