チャット「コボルト対策会議」②

―― チャットルーム ――


さきと 「では、そろそろ本題に入りましょう」

ニコカド「了解。そういえば結局、被害状況はどんな感じなの?」


さきと 「そうですね。ニコカドさんも気になっているでしょうし、始めから説明しましょう」


ニコカド「はい」


さきと 「昨日の早朝に家の周りを見回ると備蓄庫の扉が破られていました。調べると色々と盗られていました。犯行は真夜中から明け方にかけてのようです」


ニコカド「うんうん。それで、どうしてコボルトの仕業だって分かったの?」


さきと 「まずは臭いです。備蓄庫に入った瞬間にウッとくる不快な臭いがしました。アンビエントさんによると、こんなに臭いモンスターはこの辺りではコボルトしかいないそうです」


ニコカド「うえ~‼」


さきと 「それと、人間の蓄えを盗みに入るなんて知恵を働かせるのもコボルトくらいだそうです」


ニコカド「なるほど。臭いけど賢いのかな?」


さきと 「そのようです。コボルトの話を続けます。『俺イセ』を基準で考えるとこのコボルトは小柄で力が弱く、一対一ならこん棒装備の人間でも楽勝なレベルの強さです」


ニコカド「よかった」


さきと 「さらに、集団の規模も3~5匹程度だと思われます。この辺りはエルフの森と寒村しかないので餌の確保が難しいのでしょう。防衛する分には脅威ではないと思います」


ニコカド「なるほどね~」

さきと 「ですが、一点問題が……」


ニコカド「え?」

さきと 「第一報を入れた時点では気づきませんでした。臭いがマズイのです」


ニコカド「臭いが?」

さきと 「取れないんですよ、臭いが。盗られていない食料も大半がダメになってしまいました。お砂糖が生ゴミの香りになりましたよ、ええ……」


ニコカド「うわっ」

さきと 「アンビエントさんは鼻が利くので備蓄庫の食料は完全拒否状態です」


ニコカド「まー、しょうがないのかな。エルフだし?」

さきと 「おまけに、臭いと言われました。彼女に」


ニコカド「あー」

さきと 「若い女性に臭いと言われるのは中高年にはツライものです」


ニコカド「さきとさん臭くないよ? ほら! 普段からケアしてるし?」

さきと 「そうですとも、誰かさんに『パパ臭い!』と言われて以来、怖くてケアを欠かせない身体になってしまいましたからね」


ニコカド「うう!」



―― 中間結果② ――

〇コボルトの脅威度は低めである(俺イセ基準)

〇この世界のコボルトは臭い

〇臭いで食料をダメにするほどにコボルトは臭い

〇中高年の男性は若い女性の「臭い」に傷つく

〇壮年になっても消えない傷を負うほどに傷つくのだ

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