学校での出来事から逃げ出すように自宅へ戻って来ていたボクの目に映ったのは数年後には黒歴史となっているのであろうイタイ服装とポーズを決めたボクたち3人の写真だった。


 ただ、ボクの目に映り込んでいたのはイーサーと名乗るボクの主人マスターで黒木一茶としてのボクの初恋の相手である内野明日香だけだった。


「明日香、ボクは絶対に君を助ける」


 明日香を連れ去って行った男と容姿が明日香に似た別人を見つけ出し、華麗に明日香を救うことで格好良いと思われたいという、これ以上ないくらいの下心だけでボクは学校へ戻ることを決意し、何も封印されていない右手に包帯を巻きつけた。


「よっし!」


 いつの間にか左手の中指にはめられている黄色の宝石がついた指輪を見て『負ける気がしねぇ』という気持ちが強まったボクは急いで学校へと戻った。


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